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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】SA(2003年4月号)- だから毎回毎回「GO AGAIN」だよ!

だから毎回毎回「GO AGAIN」だよ!

2003.04.01

だから毎回毎回「GO AGAIN」だよ!

──今度のアルバムですが、やっぱり日本語詞が全面的にフューチャーされてるっていうことが目玉 だと思いますけど。まあ日本語自体は、ファースト(「YOU MUST STAND UP MY COMRADES」)でも入ってましたけど……。

TAISEI:そうだね、今までもちょこちょこっとは入ってたけどね。

──今回、全面的に日本語詞を使ったというのはなぜなんですか。

TAISEI:SAっていうバンドを1985年っていう子供の頃からやってさ、それで一回やめて、もう一度2000年からまたやり始めて今まで来て、このメンバーになってからもちょうど一年くらい経ったんだけど、その過程で「GREAT OPERATION」っていう全部英語のアルバムを作ったりして、もうある程度そういう所にこだわるのはいいかなって思ったんだよね。英語でやる必然性が見えなくなってきたっちゅうか。自然の流れで日本語でやりたいなっていうのはずっとあったんで、それが今のタイミングなのかなっていう所だよね。

──やっぱり歌詞の内容をより明確に伝えたいっていうことなんですかね。

TAISEI:それはデカイと思うよ。やっぱりライブやってて、MCにしても、コール・アンド・レスポンスにしても、どうしても日本語でコミュニケーションを取る訳じゃない。そういう部分がこのメンバーになってからより多くなって来たんだけど、そうした時に、歌の中でも日本語でもっと伝わるものをやりたいなっていうのが出てきたんだよね。そこにおいて、○○パンクとかそういうのはどうでもよくって、「SA」は「SA」なんだっていう自信みたいなものもあるし。

──歌詞を音に乗せていくにあたって、より音に乗りやすいのは英語の方だとは思うんですけど、今回のアルバムを聴いてて思ったのは、英語詞と日本語詞と音が渾然一体となって混ざり合ってる感じがしたんですよ。

TAISEI:メッセージはメッセージであるけどもそこはやっぱり楽曲に対して言葉がちゃんと乗らないと、いくらメッセージって言っても、音楽としてちゃんと成立させたかったし。別に日本語でやるからには最初から最後まで全部日本語にすべきっていう、そういう頭の固い所もないからね。

NAOKI:響きは大事にしますよ! すっごい大事。

──ヘタに日本語でやると、どうしても歌謡曲っぽくというか、クサくなっちゃう傾向にあるじゃないですか。

TAISEI:そうだね。そこはすごい考えた所ではあるね。聞こえ方的に、いわゆるダサくしたくはなかったし。

──その点、このアルバムはちょっと聴いただけだと、日 本語なのかどうかも分からないくらい違和感なくバッチリ音に乗ってますよね。

TAISEI:それはやっぱり俺が帰国子女だからかな(笑)

一同: (笑)

──それでも要所要所に日本語が入ってきていることによって、曲自体に対するイメージって変わってきますね。

TAISEI:俺らも今まで英語でやってて、一緒に対バンやったりするバンドも英語でやってる人たちが多いんだけど、今回日本の言葉をこうやって取り入れてみたら、何を歌ってるのかっていうのをもっと聞きたいって思うようになったんだよね。だからこれ聴いて、英語でやってるSAじゃなきゃイヤだって思うようなヤツがいたらその固い頭を打ち落とすしかないよね。

NAOKI:俺らってステージと客席に壁のないバンドやんか。だからよく「英語覚えられないっす」とか「一緒に歌いたいっす」って言われるしね。

TAISEI:そうだね。やっぱり一緒に歌いたいっていう子が多いし、俺らの曲自体、曲の半分くらいコーラスが入ってたりする訳じゃない。だから歌わせてあげられるものを作りたかったな。今回の作品は、お客さんには本当に酷だと思うんだけど、半分以上歌わなきゃならないから、がんばってもらわないと(笑) 。

──その辺はやっぱり「GREAT OPERATION」で歌詞カードと訳詞をつけてっていうのが前振りとしてあって、今回日本語詞になってより歌いやすくなって……。

NAOKI:そうそう、ちゃんと伏線があるよね。

──そういう意味でもSAの曲って、いつもサービス精神旺盛というか、今回のにしてもライブでやったら絶対楽しいだろうなっていうのばっかりじゃないですか。コーラスの掛け合いであったり、シンガロングしてる所だったりとか。

TAISEI:好きなんだよね、そういう音楽が。楽しく行きたいから。

──やっぱり「楽しい」っていうのはテーマですかね。

TAISEI:そうだね。まあ、そこにちょと辛口なことも入れつつね。

──メロコアだったり、最近の日本語パンクみたいに「FUN」っていう部分だけを強調するわけでもなく、ハードコア周辺の、パンクの暗い部分を押し出していくっていう感じでもなく、SAってパンクが昔から持ってるヤバイ部分と楽しい部分っていうのがいいバランスで同居してる感じがします。

NAOKI:喜怒哀楽もあるし、叱咤激励もあるしね。

TAISEI:うん、喜怒哀楽みたいな、いわゆる人間の持ってる感情全てを出せるバンドだよね。

NAOKI:衣装とかは多少考えているけど、そういうメンタル面では全然格好つけてはいなからね。

──現在のシーンにおいてのSAの位置って、すごい特殊なところにあると思うんですよ。音的に別 に変わったことをしてるわけじゃなく、ストレートなパンクロックをやっているのに、他にこういうバンドっていないし。

NAOKI:いないんだよね、別に難しいことをやってるわけなじゃいのにね。

──ライブとかバンドとしてのスタンスなんかにしても、他に比べるようなバンドって見あたらないですよね。

TAISEI:そうだね。だからよく言う言い方だと「ジャンルはSA」っていう感じがするよね。俺たちは、別 にパンクだとかロカビリーだとかいうジャンルの壁はいらないと思ってるから。だから対バンも「音楽として」面 白い人たちと一緒にやりたいしね。曲を作る時にしても、パンクを作らなきゃならないっていう意識はないからね。そんなことは関係なく、SAとして格好いいものかどうかっていうのが重要だから。

──曲ってどんな感じで作ってるんですか。

NAOKI:それぞれがほとんど完成形を持ってきちゃうね。一緒にライブをやっていく中で、お互いこれからどんな方向性でやっていきたいかとかわかってくるから、そういう方向で何個も作ってきて、そん中で「これはっ」っていうのだけチョイスしていってあとは使わない。ポンッて合わせた時の瞬発力みたいなものを大事にしたいからね。

TAISEI:合わせた時にライブの絵が浮かぶがどうかだよね。

NAOKI:いい時は映像として見えてくるからね、そういう時はもう「もらったな」っていう。

──ああ、その辺はリスナーとしてもCD聴くだけで、ライブの時の光景がメチャクチャ見えてきますからね。

TAISEI:お客さん参加型バンドだからね。

NAOKI:お互い真剣勝負だから、手を抜けないよ。

──まあこのメンバーになってから一年が経つわけですが、この一年でバンドを取り巻く状況って言うのはかなり大きく変わったと思いますけど。

TAISEI:変わったよね。

NAOKI:まあ俺が入る以前のSAは断片的にしか知らないけど、その時はTAISEI一人でひっぱっていってたっていう状況があるわけだからね。

TAISEI:前はやっぱり俺が背負い込んでた部分があって、俺がダメだったら全部ダメだったりとか、俺がよかったら全部よかったりとかってのがあったんだけど、今はそれがいい形で分け合えている感じはするね。

NAOKI:「やったー」っていうのも一緒だし、「あ~あ」っていうのも一緒だしね。それがどんどん大きな形になって、明確に外野に見えるようになってると思うから。だから存在は大きくなってるのかもしれないね。

──去年ってライブなんかの活動自体もすごい活発だったから、本当に去年一年でSAに対するイメージも変わりましたよ。

TAISEI:去年は本当に突っ走ったと思うよ。

NAOKI:突っ走ったね~。

TAISEI:やっぱり一年前にこのメンバーでやるって決めた時に、もう「とりあえず突っ走ろうぜ」っていうのが最初のテーマだったから。やっとここまで来たような気がするね。

──前作「GREAT OPERATION」が、「これからこのメンバーでやって行く」っていう紹介的なものだとしたら、今回は次の段階に来たのかなっていう感じですね。

TAISEI:そうだね。一区切りっていうか、これがある意味本当のスタートだよね。

──KENさんやSHOHEIさんは、一年前の段階ではTAISEIさんとまだ初対面っていう状態だったと思いますが、この一年どうでしたか。

KEN:
まだ、一年経ったっていう感じもしないし、すごいず~っとやってるバンドっていう感じもするし……。

TAISEI:去年は本当に一緒にいすぎたからね、喋ることもなくなるっつーの。

NAOKI:アフターも長すぎたから(笑) 。

──まだ一年しかたってないっていうのはスゴイ感じますね。それだけ濃厚な活動を一年間してきたっていうことでしょうけど。

NAOKI:うん。まあライブ一本にしてもがっかりするようなものをやるのはイヤだからね。

TAISEI:だから毎回毎回「GO AGAIN」だよ! 今だからこそもっと引き締めて、これからもっとどんどんやって行くよ。

NAOKI:そう「GO AGAIN」! 毎回、楽しくても引き締めて、ダメでも引き締めて。大分人気も出てきたとは思うけどなんかそこに甘んじているっていうのじゃイヤだから。もっともっとバンドのエネルギーを見せたいね。どこまでも行くよ。

──本当に一年前に今みたいな感じになるとは予想できなかったですからね。だから今年もまた一年、どうなっていくのか楽しみですよ。

NAOKI:ね、わかんないよね。

TAISEI:SHOHEIしゃべってないけどいいの?(笑)

──じゃあ最後に一言。

SHOHEI:今回のアルバムはパンクを今まで聴いてた人はもちろん、パンクを初めて聴くようなキッズたちにも聴いてもらいたいですね。僕も初めて音楽聴いたのがパンクだったし、そういう感じで、SAで初めてパンクっていうものに触れて、それで好きになってくれたら最高ですね。

NAOKI:ホントそうだね。SAを聴いて、パンクを好きになって、さかのぼって初期パンとか聴くようになったら嬉しいな。

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