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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】YELLOW MACHINEGUN(2003年2月号)- 何回やっても新しい発見があるし。

何回やっても新しい発見があるし。

2003.02.01

何回やっても新しい発見があるし。

──昨年末にリリースされた「YELLOW BUCKET」ですけれど、前作から約一年ぶりのアルバムになりますけど、今までのと比べて大分ポップな要素が入ってきている感じがするんですが。 かをり(B.Vo) 特にものすごく意図的にというよりは、今までの流れがあったからそうなったっていう部分があると思うんですけども。この前の「BEAN BALL」を出す前は二年半くらい開いてたから、その間にすごい色々経験があったんですよ、だから逆にストレートであることっていう方に集中したんですけれど。今回は一年間しか開いてないし、わりと普通 の一年が過ぎた中でまたストレートなものを追ってしまったら「BEAN BALL」と同じものしか出来ないかなっていうのがちょっと頭をよぎったんで。今まで出せなかった部分を出してみてもいいんじゃないかなと思って、そういう意識はありましたね。ちょっとヒネって、今までの流れの延長線上ではありながら、ちょっと別 の側面から見てみようって感じですか。

かをり:そうですね。

──製作したのはいつ頃だったんですか。

かをり:八月入ってからですね。九月の十何日から十月頭くらいにかけてがレコーディングだったんですけど、それを目指して八月くらいから曲作りをして、合わせて、八月の末に合宿をしてレコーディングに挑むという、またまたギリギリの感じで(笑)

──前のツアーが終わってからって考えると、結構ペース的に早いですよね。

かをり:あんまり切り替えもできんままに次だったんで、その辺ではちょっと大変だって思ったんですけど。まあやり出せば、逆に締め切りがないといつまでもやらないんで(笑)

──曲っていつもどんな感じで作ってるんですか。

かをり:私が基本的に紙にカタカナで「ドレミドレミ……」って書いて。

──え、ドレミで書いてるんですか。

かをり:そう。「ドーレーミードーレーミー」とか書いて、これがAパターン、次がBパターン……っていう感じで、リフを楽譜じゃなくて、カタカナで書いて。それから構成表を作ってって感じですね。京ちゃんがそれを見てコードを弾いてくれて。みんなで紙見ながら合わせるんですよ。

──へ~、この手のジャンルだとかなり珍しい作り方ですよですね、テープを作ったりとかはしないんですか。

かをり:楽器も持たずに、紙と鉛筆だけで作ってるんで。

──譜面を書けたりするんですか。

かをり:そうですね。でも譜面で書くと、リズムとかまで考えてたら時間がかかるんで、カタカナで書いて、上に拍数書いてっていうやりかたですね。

──もうメンバーにしかわからない暗号みたいな感じで。

京子:そのやり方しか知らないから。

かをり:最初からこれだからね。

京子:でも、実際弾いてみたら段々変わっていくけど。

──そういう風にリフだけの素材を持っていって、後はバンドで作り上げていくんですよね。

かをり:基本的には餅は餅屋で。まあここでギターソロ、とかブレイクの所でスネア、とか要所要所は指示して書いておきますけど。

──そんな感じで一ヶ月くらいで曲を作って最後のツメで合宿って感じだったんですか。

かをり:……結構そうでもなかったですね。

京子:合宿中に一生懸命覚えるって感じで(笑)

かをり:私はもう歌詞を書くのでいっぱいいっぱいだったんで。あんまりみんなで合わせる時間もなかったですね。

──合宿やる意味あるんですか、それ。

かをり:理想としては、もう曲も詞も全部揃ってて、合宿の一週間みんなでちゃんとノリが出るくらいまで合わせてってやりたかったんですけど、なかなかそうもいかなかったですね。

──作詞で結構つまってたと。アルバムタイトルにもなっている「YELLOW BACKET」って「黄色いバケツ」ってことですけど、どういう意味があるんですか。

かをり:合宿で泊まってたところに、黄色いバケツにスマイルの顔がついてるやつが置いてあったんですよ。

──ああ、ジャケットに書いてあるやつですか。

かをり:そう、まさにあのまんまの。それが合宿中に強烈な印象に残った一品だったんですよ(笑)。それで、私が歌詞を作ってるときに、あまりにもギリギリで作ってたもんだから書くことがなくって、「どうしよう京ちゃん『俺は黄色いバケツだ、頭に洗面 器を乗せてるぜ』とかいう歌詞でもいい?」とか言って。それで「別にいいんじゃん」ってことで、そういう馬鹿げた歌詞を作り出して、まずその「HELLO SMILY YELLOW BUCKET」っていう曲が出来たんですよ。それからアルバムのタイトルを決めようって時に、私的には一曲目の「SHUT DOWN THE LIMIT」っていうのがいいって言ったんですけど、タマちゃん(Dr)が「長いから覚えにくいからいやや」って言うんで。「YELLOW BUCKET」が、合宿の中でのある種シンボルだったし、ちょうど「Yellow」がバンド名ともかぶってたんで、これでいいかなと。

──ああ、「黄色いバケツ」って何かの比喩なわけじゃなくて。

かをり:本当に黄色いバケツがあったっていうだけですね。人が真夜中に必死で歌詞を書いてる時に、あいつはいつもニコニコ私を見てたんで。

──合宿中見守られてたわけですね。いつもそういう感じの歌詞の作り方なんですか。

かをり:前まではもっと自分の中身的なこととかを書く、インナーワールド派だったんですけど、あまりにも考えすぎてめんどくさくなってきたんで(笑)。そろそろもうちょっと簡単な歌詞が書けたらいいなと思ってますね。小難しいことを並べるのではなく、簡単だけどいろんな意味にとれるみたいな詞がいいんですけど……。まあなかなか難しいです。

──でも今回のは「YELLOW BUCKET」ってどういう意味なのかな~? とか色々深読みされそうですけどね。

かをり:まあ今回のはアホらしくてアリかな(笑)

──そんな感じで合宿があって、それからレコーディングに入るわけですが。

かをり:大阪のスタジオでラリーさんプロデュースでやったんですけど、二週間強くらいかかりましたかね。間でみなさんのスケジュールの都合もあって、お休みもあったんで、ずっとぶっ続けでやってたわけじゃないんですけど、それでもちょっとオーバー気味でしたね。結構すんなり行ってるのになんでこんなに時間がかかるのかなって思ったんですけど、最後の方になって今回は曲が長くて、曲数が多いからっていうのに気づいて(笑)

──すごい単純な理由だったんですね。

かをり:全然気づかなかった。

──まあでもレコーディングの作業自体はスムーズだったんですか。

かをり:そうですね、タイコから録って、ベース録って……って感じで普通 に進みました。

──あ、一発録りじゃないんですか。

かをり:一発録りもしてみたいんですけど、あまりにもプレッシャーが大きいので。ここで私が間違えたらダメなのではないだろうかっていうプレッシャーに負けて間違えそうなんで(笑)。ムチャクチャ緊張するよ、自分のせいやって思っちゃうし。

──プレッシャーに弱いんですか。

かをり:弱いです(笑)

京子:二週間じゃ終わらないよね。

──ライブを見てるとそうは見えないですけどね。やっぱりライブとレコーディングっていうのは別 物なんですかね。

かをり:ん~、まあウチらはレコーディングの前にライブでやって、そこで選曲するっていうのをしてないので。まずレコーディングを先に考えてるような感じになってしまうんですけど、どうしてもライブでやると曲がこなれるから、CDとライブの感じはちょっと違うんじゃないですかね。考え的にはなるべくライブに近いCDを出したいっていうのはず~っと思ってますけど。あまりライブで出来ないことをレコーディングではやらないっていう。

──あんまり音を重ねたり、加工したりはしないで、三人の音で勝負ってことですね。……でも一発録りはしないと(笑)

かをり:気ぃちっちゃいねん(笑)

──今回SINITTAのカバー(TOY BOY)が入ってますが、あのカバーが真ん中に入ってて、それがわりと曲調が違うんでブレイクみたいになってますよね。

かをり:そうですね。やっぱりレコード世代なんで、CDのアルバム一枚通 してっていうんじゃなくて、どこかにB面的要素っていうのはいっつもほしいと思うんですよ。

──本当は裏返してほしいと。曲順って結構考える方なんですか。

かをり:今回は悩みましたね。いつもは最初と最後さえ合わせてしまえばすぐに決まるんですけど、今回はいろんな曲が入ってたんでかなり時間がかかりましたね。

──あと思ったのが、今回全体的にコーラスワークに特徴がありますよね。コーラスがうまい感じに絡み合ってる感じが。

かをり:「BEAN BALL」の時の「OVER THE WALL,WHERE'S MY BALL」が京ちゃんとタマの声がよくきこえてるんですけど、その曲が一番三人でやってる感がすごく出てて、自分でも聴くのが楽しかったんですね。それでちょっと味をしめて、今回はなるべく二人の声も聞こえるようにって考えた部分はあります。

──三人とも声質がわりと違うんで、広がりを感じますよね。混ざらない女声って面 白かったですけどね。

かをり:そうですね、そこは意図したところなんでそう思ってもらえればうれしいですね。まあ全員主張しすぎなんですけど(笑)

──まあこれからレコ発ツアーに入るわけですよね。

かをり:ちょうどいい季節にやれますし、楽しみです。いい感じで桜前線と一緒に上っていくっていうのが(笑)

 ──東京は4月12日のシェルターですけど、ちょうど桜が咲いてる頃でしょうね。

かをり:でしょ、でしょ。ステキですねぇ。まあ、それまでにちゃんと練習しなくちゃならないんですけど(笑)

──それじゃ最後にツアーに向けての意気込みを一言づつお願います。

タマ:今回もライブでやって楽しい曲がいっぱい入ってるんで、是非またいろんな人に見てもらいたいですね。楽しいライブにしたいです!

京子:おいしいものいっぱい食べたいです(笑)

かをり:そんな意気込み(笑)。まあ、かなり重要やけどな。毎日食べ物に夢中だから(笑)。まあ、ツアーは楽しみですよ、本当に。何回やっても新しい発見があるし。

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