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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ASLN(2003年1月号)- この4人から生まれるものに意義があるというか

この4人から生まれるものに意義があるというか

2003.01.01

この4人から生まれるものに意義があるというか

──ASLN以外でもお忙しい4人だと思うのですが、あらためてASLNとして活動する事になったきっかけというのはあったのですか?

樹:DUB SQUADは中西君が、ROVOは勝井さんと山本さんが、「何か一緒にやりましょうよ」といった中で必要な人を集めて作って。僕達は、それぞれにそれぞれの意志というかやりたいと思う世界観があって、それをただ強制する形ではなく、それぞれの発想にもとづいた音楽を一緒に作るという人間なので、新しいバンドを作るという事に対しての抵抗感は全くなくて。なくむしろやりたい音楽があったら1コバンドが出来てしまうっていうか。ASLNの場合も同じで、原型が出来たのは93年くらいなんですが、今のメンバーになったのは4年くらい前からかな。

──言葉にするのは難しいとは思いますが、ASLNの核となってるものは何なのでしょうか?

ふみえ:この4人から生まれるものに意義があるというか。誰か1人が違ったら全然違う形になってしまうし。単純にそういうところが核になってる。

樹:誰とやるか、というのはすごいデカイですね。人が違うから違う音楽が生まれるっていうことが確実にあるので。本当に必要な人としか一緒にやっていないし。

中西:それで曲作りにもやっぱそういう感じっていうのがあるんですよね。ほんとに自分の音(色)だけを出すというか。

樹:とくに変わった事やろうとかそういう事は全然ないですね。「そもそもなんで、これこうやるんだろう・・・」、という所に立ち返って考える事っていうのはASLNに限らないんですけどすごく多くて。そのための時間という意味もあって、レコーディングしてからミックスするまですごい時間をわざと空けて、一回忘れたりというのはあります。この曲はこういう曲でしょ、という先入観でやりたくないというのがあったので、長い曲だと1年以上寝かしてたりとか。

──今回のアルバムに関してはどうですか?

樹:今回のアルバムにも、何年前のものともわからない曲が入ってたりするんですけどね。

──1つ作品が出来たらすぐ次の曲にとりかかったりとか、次のリリースを考えたりしなければいけないという風潮があったりしますが。

樹:そうですね。それは音楽をやる側だけはなくいろんな要因が重なり、そうしないとやっていけないという事がありますが、僕らはたぶんメジャーのレコード会社では出来ない、そういうスケジュールに合わないと思います。

高田:日本のペースは速いですよね。

樹:僕らは曲だけではなく時間の流れも大切にしたいので、間に合わせである程度の長さの曲を作ったりとかはしたくないですね。無理ない時間の流れの中できちんとした必然性があり、緩やかなものとなっていくような、そういうもので全部構成させたかったですし。

──4人でスタジオに入った時はどんな感じですか?

ふみえ:せっかく4人集まってるのに、まともに発展につながるものが出来なかったらどうしようかな、とかけっこうある意味緊張感はすごくあるっていうか。作りゃいいさ、っていうのではなく。やっぱり出来上がっていくというか、何かしら生まれてるという手応えがないと全く意味がないので。

中西:そうやっていくと煮詰まっちゃたりとかしそうなところなのに、いい感じでやれてるっていうのは仲が良い事かなと思うんですよ。4人でいると楽しいし。スタジオ入っても3人に会うっていうのが前提にあるわけで、その人達から出てくるものがすごい楽しみで僕も音出しにいくわけだし。

──お互い「次どういうものもってくるんだろう・・・」っていうのは楽しみですね。

高田:すごく楽しみです、スタジオ入るのが。

樹:けっこう忘れるという事をポジティブにとらえてるのがある。いつも新鮮な気持ちでいられたらいいなぁってのはすごい思うし。これが毎日同じ曲やってたらあっという間に飽きると思いますよ。間違いない。

高田:確かにそれはありますね。

ふみえ:距離があるから尊重できるというか。

樹:ASLNっていろんなものが有機的にからみあってるバンドだと思うんですよ。楽器は基本的にくり返しのフレーズばかりなんですが、歌のニュアンスによってベースラインも変わってくるというか。

中西:楽譜とかに置き換えたりとかしたらほんのちょっとの変化で、僕としては低い音で短音を並べてるだけなんですけど、その中でも今この瞬間を一緒にやってるという熱い気持ちはあるので。それをちゃんと聴き(感じ)とってくれてる3人を見ると嬉しいですね。

──同じスタジオに入るという作業でも、レコーディングとライブリハーサルではどうですか?

樹:かなり違いますね。レコーディングは曲作りという一つのものを形にするという作業で。本当に心の底からこのフレーズを味わいつくしたいというワンフレーズが出てくる瞬間っていうのはそんな多くないので、それをひたすら探して時には忘れて、ひたすら待つしかないというか(笑)。それをライブでやるという事は、ひとつの設計図みないなものをどう組み立てるかという事。ここのパーツはないけどどうしよう。ライブだったら何がくるかなあと考えて他の楽器におきかえてみたりとか、別 の要素を入れてみたりとか。曲の骨格となるような部分はこの4人で作ってるので、ライブでは他のメンバーにその骨格の上で広げてもらったりします。

ふみえ:CDでは高田君のパーカッションもけっこう重ねてるので、その辺も代わりのものを考えますね。

樹:僕だけかもしれないけど、ライブには開放感があるんですよね。常にその先に起こる出来事っていうのを把握した上で演奏してるんだけど、そこに至るまでの、そのテンションだとか温度の上がり方とかっていうのはやってみないと分からないので、それはむちゃくちゃ面 白いですね。

ふみえ:わくわくするね。

樹:レコーディングにおいて楽器を足すという事は、4人がその楽曲のアレンジをより豊かなものにするっていうようなところもあるんですけど、ライブでは、人が増えるという事=リズムが増えるという事になり、当然なんの楽器でもリズムを持っているので、ライブではそのちょっとしたずれであったりとかそういうものが面 白いなって思ったりするところがありますね。そういう事もすごく求めていて、いろんなリズムが鳴っててほしいていうか、このリズムに集約するっていうのはすごくなんか嫌かな。

──2001年9月の渋谷CLUB QUATTRO、そして2002年9月のLOFT(スペースシャワー列伝)とライブされてきたわけですが。

樹:一年前(CLUB QUATTRO)にやったライブでは4人プラスコーラス2人の6人でやったのですが、それがすごく納得いかない出来で、この間(LOFT)はそのQUATTROの時に嫌だと思った事全部を解決した形でやりたかった。結果 、ある程度人数がいないと出来ないという事がよく分かりLOFTではさらに人数が増えた、と。

ふみえ:リハの時も曲を作るときも、だいたい円になってみんなの気配をみつつやってるのが99%なのに、ライブのステージの上だけ私の前に誰も(メンバーが)いないんですよ。今まではライブに出たとしてもコーラスとかで正面 向いてなくても可能だったから、フロントに立つと何を見て良いのか分からないなっていうのに最近気がついて。みんなを視覚でキャッチ出来ない分モニターが命ですよね。だからフロントマンでやってる人達ってすごなあ、って思いました。

高田:でもなんか歌ってる人の顔見ながら僕は叩きたいなと思いますけどね。

ふみえ:いい方法はないのかな。

高田:今度横に行きたいですね。

ふみえ:ライブだと高田君がすごい遠く(後ろ)にいるのが不安かな。気配というのはすごい感じたいです。

樹:去年のライブの時それはすごい感じて、今年のライブでは横向きにセッティングすることにしたのも、やっぱりみんな見えるっていうのと、前を向いてて後ろに人がいるっていうのとは全然感じが違うから。

中西:ライブが楽しみになってきました。

樹:あまりめずらしがられないんですけど、ベースがシンセていうのはあまりないスタイルだと思うんですけど、なんか気がつかれないっていうか(笑)。

ふみえ:もっと注目してって言いたい。ちょっとつっこんでほしいよね(笑)。

樹:ライブではフレットがある(肩からかける)楽器はギターしかないんで。

高田:次回は立ちますよね、中西さん?

中西:えっ?

高田:立ちませんかあー。なんかねえ、中西さんは立ってた方がいい気がする。

樹:立ってると落ち着かないよね。

──1月のCAY以降のライブのご予定は?

樹:いまのところ予定はこれ一本しかないです。QUATTROのライブ以降、実はライブ恐怖症になっててライブやりたくないなっていうのがあったのですが、この前のLOFTのライブでこれだったら出来るぞっていう確信が持てたので、どんどんやっていきたいですね。ライブってチームワークっていうか、本当に必要な人がちゃんと必要なだけいるっていう事が大事だなあって思います。我々はモニターを聴きながらだから分からないけど表にどういう音で出てるかっていうのも大事で、そうするとメンバー9人とPAの人1人の合わせて10人で動きたいですね。そうするとスケジュール合わせるのは大変になってくるとは思いますが、信頼してる人とやりたいですね。

──その時はまたぜひLOFTにも来て下さい。

樹:LOFTはやりやすかったので、機会があえばまたぜひ。

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