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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】Natural Punch Drunker(2002年12月号)- 流行り廃り関係なく、いつまでも聞けるもの。

流行り廃り関係なく、いつまでも聞けるもの。

2002.11.01

ポップでロックで爽やかサウンドのNatural Punch Drunkerが、聞き易くてわかりやすい曲を目指し、たどり着いた先が12/4にリリースされるニューアルバム『hereafter』。今の等身大の彼らが濃縮100%になってCDになったかんじ。 関西のバンドということで、今回はVo,Guの井村さんを電話でインタビュー!! (interview:やまだともこ)

流行り廃り関係なく、いつまでも聞けるもの。

──まず初めに結成のいきさつを聞かせてください。

井村:今から3、4年ぐらい前なんですけど、大学のサークルでバンド活動をしておりまして、そろそろオリジナルでもやろうかってかんじで。ギターの松原は別 の大学だったんですけど、村上の幼なじみだったんで連れてきてもらいました。それが成り立ちですね。普通 に「バンドやろうぜ! 」っていう感覚です。

──そのころから、今の音楽性みたいなもので・・・。

井村:いえいえ、その頃はハイスタンダードを代表とするパンクムーブメントがあったじゃないですか。僕らもキッズだったんで、ちょっとメロディック色もありつつ、いわゆる元気が出るカンジの曲調のものをやってました。

──Natural Punch Drunkerの音楽のルーツというのは。

井村:けっこうメンバーみんなバラバラなんですよ。村上はメタルだったり、ドラムの飯田はメロコアだったり、僕もNirvana を始めとしてRadioheadみたいなものも好きなんですけど、基本的なところで、昔のフォークだったり日本の歌謡曲であったりが好きなんだと思うんですよ、たぶん。そういうところが出てるのかな。さらに加えてバンドとしてできること、アコギ1本の弾き語りではなくメンバーがいるわけで、それぞれの影響をミックスさせつつさらりと聞けるもの。そこが出せればいいかなと。アルバム『hereafter』を作った時点で、おぼろげながらわかってきましたね。

──今回曲を聞いて昔に比べるとだいぶ変わったという印象はありますが、『hereafter』は全体的に歌ものとか歌謡曲的なところが出ていてすごく聞き易いですね。

井村:聞き易くてわかりやすいものっていうのが目指すところであって、こういうスタイルになってきたのかなと。昔やっていた感じの曲も好きなんですけど、やっぱり手探りでやりつつ基本として幅広い人に聞いてもらえる音楽っていうのが最初のころからあったんですよ。でも曲も作ったこともないし、オリジナルに関してはいろいろ四苦八苦しながら今に至るわけですけど、より目指していた色に近づけたかなっていうのがありますね。流行り廃りで廃ってしまうっていうのも切ないので、そういう意味でもいつまでも聞けるものというところも、、、。

──『hereafter』というタイトルに決まったのは?

井村:このアルバムを出すまでに、シングルとアルバムを1枚ずつ出しているんですけど、それも含みつつ、さらにこれからNatural Punch Drunkerは始まっていく! みたいな。みなさんも一緒に始まっていこう! っていう。『hereafter』は“これから”とか“ここから”っていう意味なんですよ。そういう意味合いも持っていまして、曲もストレートで、キラリキラリ見えるバンドのエッセンスであったりが得られればいいかなって思って。それで、若干自分らの中ではタイプの違う曲というか、いろいろ楽しめる感じの曲を入れてみたんですよ。だから、1曲1曲録ってるときはバラバラで大丈夫かなってところが正直あったんです。ただ、全部取り終わって曲順通 り聞いてみたら、さらりと聞けるなって。こんなんもいけるんや! みたいな、さらに一歩前進したところが自分らの中ではあります。

──じゃぁかなりの手応えを感じていると。

井村:そうですね。満足感は前よりも全然高いですし、今後どうしたらいいんかっていうのもちょっとわかったような気もします。

──ところで、今回5曲目の『夜のドライブ』に森信行さん(ex.くるり)をパーカッションに迎えてますが。

井村:事務所が一緒なんで、そのつながりですね。いろいろ勉強になりましたよ。

──パーカッションが入ることで変わりますしね。

井村:そうですね。さらにできるんだなっていうのが前に比べて実感しましたし、それによって次はこんなんやってやろうみたいなところが見えてきました。来ていただいている時間は笑いの絶えない、楽しいレコーディングでしたよ。

──そのレコーディングの楽しさが最後の曲『渚』にも入ってるわけですね。

井村:あれはおまけ的なものなんですけど。マシンチックな物を使ってみたりいろいろできるんだなっていうのが、そして音楽って楽しいんだなって思いました。

──あと、6曲目の『桜並木』が気になったんですが、作詞作曲が泉谷さんということでメンバーの方ではないようなんですけど・・・。

井村:うちらは5人目のメンバーと呼んでいるんですが、大学からの連れで一時期ライブも5人でやってた時があったんですよ。諸々に事情がありまして、今はとりあえずレコーディングには参加してもらっているんですが。なかなか頼りになる男で、アレンジ面 や曲作りにいろいろ意見しつつやっている、そういう役割の人物です。それで、今回は1曲いい曲ができたんでそういう新しい曲を入れてみるのもいいかなと思って。

──すごくすんなり他の曲にも溶け込んでますよね。

井村:わかってるんですよね。ちょっと好みも似てますし。

──このアルバムは1曲1曲が恋愛ドラマを見ているような感じが、すごく情景が目に浮かぶような曲だなって。

井村:誰しもがチラリとは思うようなことかなって思うんですよ。空想的過ぎでもないみたいな。そのへんを感じ取ってもらえればいいかな。

──井村さんはどんな時に曲はできたりするんですか?

井村:映画を見て感動した後であったり、テレビでしゃべってる人の話を聞いた後であったり、なにかしらの動きがあった後が多いですね。他はボーッとしてるときに急に浮かぶとか、作ろうと思って作るタイプじゃないんで。

──すごく日常な感じですよね。

井村:普通なんで、僕・・・。普段生活していて、感じることだったり、少し思ってみたりっていうとこがみんなあると思うんです。でも、そういう一瞬一瞬のことはすぐ忘れちゃうんですよね。その辺をこうやって聞くことによって共感していただけたら満足です。でも、僕はわりとSHY GUYなんでこんな体験はないですけど(笑)。そんな告白文的なところは恥ずかしいじゃないですか。

──でも、これを聞いたら女の子はドキドキしますよ。

井村:(笑)ですかね~。そうなっていただければ僕は本望ですけど・・・。「あるある」みたいな感じになっていただければいいかな。

ひとつひとつを最高のライブに。

──シェルターレコ発ライブが1/10にあるんですけれども対バンにStereo Fabrication of Youthとザ・ガールハントとOcean。

井村:ステファブはシェルター以外も名古屋より上は一緒に回って、Oceanはステファブが仲良くてそのつながりで。初めて一緒にやるんで楽しみでもありますね。ザ・ガールハントはテルスターの・・・。歌心もありつつライブとしても楽しめるメンツなんじゃないかなと。

──こういうイベントにしたいとかあります?

井村:チケット代を払って来ていただくんで、その日限りの最高の1日に出来たらいいなと思いますね。少しでも感じていただければこの上ない幸せだと、そしてほわほわ気分になって帰っていただければいいかなと。シェルターは久しぶりですし、ツアーの中のひとつですけど、ひとつひとつを最高のライブに。昨日よりイイ自分でいられるように・・・。

──今年は大きなイベントにもけっこう出演されてたと思うんですけど、1年どうでした?

井村:いろいろありましたね。充実ですね、やっぱり。夏に『RUSH BALL(神戸の一大イベント)』というイベントも出ましたし、『MINAMI WHEEL 2002』もありましたし、その間にアルバムのレコーディングをして、12月に出るわけですし、そういうひとつひとつのしっかりした事柄を順々に目標を置いて、それに向かっていって、次にみたいなカンジで行けたのがよかったかなと思いますね。

──けっこう段階を踏んだ上で、すごいいいものができたってことですね。『RUSH BALL』はどうでした?

井村:楽しかったです。野外も初めてですし、2万人ていうとこも初めてですし、貴重な体験でした。それに付随してラジオのほうもやってまして日々新鮮ですね。新しいことがどんどん始まっていくみたいな。冷や汗ダーンみたいな(笑)。まさにそんなかんじです。

──バンド的にも自分的にも充実した一年でしたね。

井村:生きてるってすばらしいってかんじです。そして、来年に繋がる年だったと思います。来年はもっともっと。年頭でいきなりライブもはじまるんで。ワンマンも控えてますし。

──では最後に一言お願いします。

井村:神戸のバンドなんで、東京には頻繁に行けるわけじゃないんですけど東京の方にも聞いていただきたいと僕は思っているんで、東京に行ったときは宜しくお願いします。素敵な気分を味わいましょう。はい。

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