Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ムーンライダーズ(2002年11月号)- 22年振りのロフト出演は、豪華ゲストを迎えた3days!

22年振りのロフト出演は、豪華ゲストを迎えた3days!  

2002.11.01

日本の若手バンドから刺激を受けることが増えてきた

──最近気になる若手のバンドはいますか?
 
鈴木:この間、Three Blind Mosesでやったイヴェントに出てくれた人たちなんかはそうだね。イルリメさん、downy、OKミュージックボールとか。あと、さっきこの取材の前にちょっと聴いてたチェインズっていうのも良かったな。それとこの間『FACTORY』に出てたfolk enoughとか。昨日POLYSICSを観に行って久しぶりに会ったんだけど、ELECTRIC EEL SHOCKも面白いね。
 
──そういう慶一さんのアンテナに引っかかる基準みたいなものってどんなところなんでしょうか?
 
鈴木:何なんだろうね…。洋楽を、今も過去も含めて物凄く大量に聴いてるわけだよ。新しいバンドを観た時に、そういう洋楽を聴いてきて蓄積された情報量 がグルグルグルッと瞬時に検索されて、“あのバンドとこのバンドを足した感じかな”とか思いつくんだね。他人のライヴへ行くと、いろんな刺激を受けて結局は自分のバンドのことをいつも考えるわけ。一緒にライヴをする以上はそのバンドのライヴを事前に全部観るし…。それはね、ジョン・サイモン〈註6〉先生の教えだな。3年前に博多で3日間ライヴをやったんだよ。〈註7〉 ジョン・サイモンとハース・マルティネスが出るイヴェントで、私がプロデュースしたの。その時にジョン・サイモン先生がリハを袖から観てて、本番も自分の出演以外は全部観て、観終わると必ず私のところに一言言いに来る。それに随分と影響を受けたね。一時期は私も自分の出番以外は会場の外に出たりしてたけど、やっぱりそれはもったいないよ。
 
──いわゆる大物バンドになると若手バンドに対して関心がなかなか持てなくなると思うんですが、慶一さんの場合はやっぱり、何よりも音楽がお好きなんでしょうね。
 
鈴木:うん。音楽が好きだっていう姿勢のバンドがいて、“彼らが出すサウンドはどこから来るんだろう?”って考えるのが好きなんだよね。例えばdownyと話してると、「恰好いいことをやりたいから毎日練習するんですよ」って彼らが言うんだよ。「当たってるよ、それは。でも練習しすぎじゃないの?」なんて答えたりさ(笑)。そういう人たちはイイよね。音楽が心底好きで、明日になったら音楽をやめてしまうような感じじゃないし。 あとさ、私たちが人前でライヴを始めた頃…70年代のライヴっていうのは、たくさんのバンドが出演するイヴェント的なものばかりだったんだ。学祭とか野音もそうだし。そうすると、他のバンドも必然的に観るじゃない? “アイツら巧いな、畜生!”とか“この後に出るのイヤだなぁ”とか思うわけ(笑)。だから他のバンドのライヴを観るのは昔からクセがついちゃってるんだね。でも、同世代にはライバルと呼べる人たちはもう余りいなくなっちゃって、今は若い人たちのほうが面 白かったりする。洋楽と邦楽の境目が薄れつつあるし、最近は洋楽から影響を受けることが減ってきている分、日本の若いバンドから刺激を受けることが多くなってきたよね。
 
──あ、慶一さんでもそうですか?
 
鈴木:うん。でも、洋楽からの影響は減ってはいるけど、突然エルヴィス(・プレスリー)マニアになったりはしてるけどね(笑)。私が音楽を聴き始めた60年代って、エルヴィスはすでに映画スターだったじゃない? だから凄く保守的に見えて苦手だったんだけど、ちゃんと聴いてみたらやっぱり凄いんだよね。
 
──60年代のエルヴィスって軽視されがちですけど、68年にテレビ放映された復帰ライヴのエルヴィスはメチャクチャ恰好いいですよね。
 
鈴木:あれは凄かったよね。私も数年前にあれを観て衝撃を受けた。
 
──ジョン・レノンがあの頃のエルヴィスを随分とバカにしてますけど、そんな言う程でもなかったんじゃないかと思うんですよ。
 
鈴木:うん。あれは愛情の裏返しだろうね。
 
──ところでムーンライダーズとしては、去年発表されたアルバム『ダイアモロンズ トリビューン』に続くリリースのご予定は?
 
鈴木:今年中にレコーディングをやりたかったんだけど、もう時間がないね。だから来年の春頃に出るのをメドに、ちゃんとしたものを作りたいな。昔はレコーディングの締切に合わせて曲を作っていたけれど、若い時はそうじゃなくて、発表する場のないものを毎日のように作るわけだよね。今はまた思いついたらすぐに曲を作る感じに戻ってるよ。
 
──ムーンライダーズ本体以外にも、現在はThree Blind Mosesとしての活動も盛んですが、曲によって「これはムーンライダーズ用、あれは別 ユニット用」みたいな振り分けはあるんですか?
 
鈴木:あるね。ムーンライダーズっていうのは歴史があるバンドだから、“今度はこういうものをやってみよう”っていう、よりコントロールした曲になっていく。新バンドはいきなり全部新曲だから、何も考えない(笑)。今やりたいことだけをやる。K1>>7.5ccっていうユニットも、今やりたいアンビエントな音楽をやってるしね。そうするとソロなんてことは考えられなくなるんだよ。でもソロ・アルバムもそろそろ作りたいと思ってるんだけどね。
 
──そもそも『火の玉ボーイ』自体が、実質的にはソロ・アルバムでありながら“鈴木慶一とムーンライダーズ”名義だったり…。
 
鈴木:そうね。不幸なことに名義が曖昧になっちゃったから。その曖昧なまま今に至るという(笑)。純然たるソロとして出てるのは『SUZUKI白書』(1991年発表)くらいだけど、あれはプロデューサーが5人いるアルバムだったから…。そう考えると、自分で完全にプロデュースしてるちゃんとしたソロ・アルバムはないっちゃないねぇ。ソロでカントリーのアルバムを作りたいなとはずっと思ってたんだけど、それも新バンドを作ってそういう要素もやれちゃってるんだよね。急いでいろいろなものをドンドン作っていかないと、20歳に比べれば寿命は短いでしょう?(笑) それはやっぱり大きいよ。
 

Messages from 3 Bright Young Bands ムーンライダーズを迎え討つ3バンドからのメッセージ

 
◆LABCRY ◇
ムーンライダーズは日本一ファンキーでロックでカッチョイイ! 現役オジサン集団(失礼)だと僕は思います。まさか一緒に出来るなんて思ってもみなかったので、まるで夢のようです。僕たち6人もこの日はファンキーでロックなオジサン予備軍の代表として、精一杯ガンバリたいと思っていますので、よろしくお願いします。ムーンライダーズ、バンザーイ!!!!!!(三沢洋紀)
 
◆クラムボン ◇
うれしいです。まことに。ふるえます。ほんとに。どうぞ4649おねがいします。(原田郁子)
◇ムーンライダーズへの想いなんて、想いが肥大化しすぎてて、言葉になりません。当日の演奏でしか表せないと思うので、とにかくそこで観ていただきたいです。(ミト)
◇実は結構前からこのチャンスをいただいていたのですが、今回、やっと実現しました。ありがとうございます。素晴らしくうれしいです。我々のライブ後はしっかりお客さんになろうと思います。役得。(伊藤大助)
 
◆POLYSICS ◇
今、『THE WORST OF MOONRIDERS』を聴きながらこの文を書いています。そう!! そうなんだよ!! ムーンライダーズと対バンなんだよ~!! メッチャクチャ嬉しい!!!! 死んでもいい!!!(さすがにそれは言い過ぎ) 昔からず~っとこんなにロックで、ポップで、切なくて、アヴァンで、変態な、天才音楽集団のみなさんにはいつも頭が下がる思いです。ムーンライダーズにかなり影響を受けた(特に「鬼火」に)POLYSICSのこの日のライブは、愛と、勇気と、情熱と、マスカットと、ココナッツと、バナナと、メロンをかなりふんだんに盛り込んだ素敵なステージとなる事でしょう!! だからムーンライダーズのみなさん、そしてそのお客サマ、何卒、よろしくお願いしますYO!!!!(ハヤシ)
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