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INTERVIEW

トップインタビューART-SCHOOL('02年10月号)

ART-SCHOOL('02年10月号)

2002.10.12

人間には人には言わない、隠している部分がいくつもある。その隠している部分をさらけ出し、感情の向くままに表現するART-SCHOOL。だからなのか、彼らの曲には聞いた者の心を捉えて話さない何かが潜んでいる。 そのART-SCHOOLが10/30にニューシングル「DIVA」を発売し、下北沢SHELTERでワンマンを行うということで、ボーカルの木下さんを直撃してきました。すると・・・。(interview:やまだともこ)

人間が隠していることに惹かれますね

--10/30にニューシングル『DIVA』が発売されるんですがタイトルの由来とかはありますか?

木下:90年代ぐらいの映画のタイトルで、女の人を崇めちゃってるダメな男の物語なんですよ。もともと『DIVA』って女神とかそういう意味なんですよ。女性を崇めるというか、そういう感覚って僕の中にもありますしね。

--詩を読むとけっこう女性をたててるっていうかんじはします。女性像みたいなものができあがってる。

木下:(笑)そうですね。小中学校の時には女の子と全然しゃべれなかったですからね。そういうのが曲にも入ってるかもしれないですね。想像上の女の子であったりとか・・・。でも現実の女性も知ってるからこういう詩を書けるとは思うんですけど。感覚の中の女性が入り交じってるんじゃないですかね。

--ところで、タイトル曲にもなっている『DIVA』の詩の中で"死"というフレーズが多いんですが、そういうのって日常体験ではあんまりないことじゃないですか。だからどんな時に浮かんでくるのかすごく興味があるのですが・・・。

木下:死ぬことかは普段から考えていたんですけど、自分の身近な人が亡くなって『シャーロト.e.p.』を作って、今回アルバムを作ってけっこう自分の中では繋がっているんですよ。死とか暗黒っていうのは日常の中にいっぱいあるけど聞きたくないですよね。だけど僕は人間の隠している部分というのにすごい惹かれるんですよ。 --でも、自分に近い人の死なら尚更自分から遠ざけていたいものだと思うんですよ。それをストレートに出されるとドキっとしたりするんですが。

木下:でも死ってネガティブなイメージがあるけど、ホントにそうなのかなって思うんですよ。だから、考えますね。いつも考えてます。死というより欲望ですよ。隠れているような。それを見せたいというのがあって。

--欲望?

木下:欲望というか、死ぬこととかSEXのこととかみんな隠してるじゃないですか。みんなが隠しているから惹かれるのかなとかそういうのも考えますけど。

--木下さんが書く詩は、ここにいる自分じゃなくて空想の中のもう一人の自分が書いているという感じがします。

木下:昔からそうですからね。ライブの時も激しくギターを鳴らす自分を冷静に見ている自分がいますしね。小さいときから洋楽が好きだったんですけど、やっぱ小3ぐらいだと周りの子と合わないじゃないですか。ホントは自分はこうなんだけど、こういうこと言ったらちょっとって言うのがあるじゃないですか。子供の時って、人と違うってすごく恐怖じゃないですか。だから空想の世界で遊ぶっていうのは小さい時からずっとしてたし、もう一人の自分を作ってるのかなってのはあります。

--自分を第三者的に見ているってことですかね。

木下:けっこうごちゃまぜになってきたりしますけど、そうかもしれないですね。でも全部本当の自分ですよ。別 に影武者とかいないですからね(笑)。(死や暗黒に)すごい惹かれてる自分がいるから、音楽作ることによってどこかバランスをとってるのかなって。ちゃんと自分は持ってますよ。演じたり、誰かに合わせたいっていうのは全くないですし。ただ、単純にネガティブと思われているものをやったり、そうじゃないだろ? お前ら隠しているだけだろう? っていうのは確実のものだから暴きたいと思っているんですよ。暴いていきたいというか、白日にさらしたいというか。それはすごく思いますねー。

--暴いていきたいというのは、対相手ということですか?

木下:とくに自分ですね。普段仕事している人とかも自分をおしころしてやってると思うんですよ。でも、ガンバレソングとか青春ソングとかはなぐさめにしか聞こえないですもん。だったらさらけだしていけばと思うんですよ。

--もしかしたら、そういうのが人間として一番素直なのかもしれないですね。

木下:そうですね。でも、普段は別にテレビ見て笑ったりもしますよ(笑)。ダウンタウンとかも普通 に好きですし・・・。逆に普通の感覚がないとそういう詩は書けないですよ。

小学校の時は図書館に行って、タイトル見て頭の中で内容を想像してました

--木下さんは曲はどんな時に作られますか?

木下:普段寝てるか曲書いてるか、映画見てるか本読んでるかCD聞いてるかですから・・・。音楽を作る為に生活してますからね。いつでも作っているっていうかんじです。

--曲が最初にできるんですか? 詩からできるんですか?

木下:ほぼ曲ですね。その前にタイトルが決まってるんですけど。タイトルに合わせて曲を作る。それもやっぱり空想の世界だったりするんですよ。小学校の時に図書館に行って、お金なくて借りれないからタイトル見て頭の中で想像するんですよ。こんなかんじなのかなって。だから今でもタイトルから決めますね。

--タイトル決めて、曲を作ってメンバーで合わせて詩を作って・・・。

木下:詩曲は僕がやりますけど、アレンジはバンド全員で。違うんじゃないの? とかはっきり言うから、メンバー的にもストレスを感じてるとは思うけど、基本的にはメンバーもそれはわかってるし、信頼してないと言えないってことだから。

--ART-SCHOOLが活動し始めてから2年半ぐらい経ってますが、やっぱりソロでやってたころとは勝手が違いますよね。

木下:そうですね。ソロとバンドでは表現方法も違いますしね。でもメンバー4人、年齢も価値観も違うけど、基本的にみんな音楽が好きだから。モノ作りってやっぱり辛くもあるけど、最終的にできあがったときにはうれしいからそれがあるからやってるのかなと思います。何にしてもそうだと思うんですけど。作り上げる課程が一番辛いけど、終わったときは一番充実感があるし、自分が成長しているなってわかるから、この先どんどん成長していけばなと思います。

--では、9月にロフトでも行われた『KINOSHITA NIGHT』ですが、このイベントを始めたきっかけはなんだったんですか?

木下:自分達の人気が出る前だったから、自分達で好きなバンド呼べたらなってね。けっこう定期的にやっていってますよ。来年もロフトでやりたいし、タイミングでもっと大きいライブハウスとか地方とかでもやりたいです。

--一緒にやるバンドはどうやって選んでます?

木下:基本的には同い年ぐらいでエッジが立ってるバンドです。そういう人達ってけっこう今は表に出てないとか、地道にやってるんだろうな。だからどっかのタイミングで誰かとやれたらなと。アンテナをのばしていきたいですね。基本的に僕は音楽がすごく好きだから。

--今までに影響を受けたとか、これからKINOSHITA NIGHTをやっていくにあたってこの人とやりたい! ってのはあります?

木下:邦楽に限っては・・・、コーネリアスですかね。あとNUMBER GIRL。この人なんでだろう? っていう人に惹かれますね。狙ってヤバいとかじゃなっくて、信じてやってるし、感覚がすごい鋭かったり研ぎ澄まされたりするから、将来的にはそういう人達ともやっていけたらいいですね。

--最後に・・・10/30のシェルターワンマンの意気込みとかってありますか?

木下:来て欲しいですよね。来て何か感じて帰って欲しいなと思います。意気込みは・・・やるぞ! っていうバンドではないんでね。鋭いバンドでいたいんですよ。

--なぜシェルターでやろうと思ったんですか?

木下:シェルターがいいと思ったんですよ。狭くていいじゃないって(笑)。ホントに。シェルターって何回もやってますしね。お客さんが気持ち良く聞ければいいと思いますね。

--10/30はどんなかんじにする予定ですか?

木下:昔の曲を中心にやっていくと思いますよ。

--じゃあ昔からのお客さんも充分楽しめるイベントですね。

木下:そうですね〜。だから来てくれるといいですね。ホント、自由に楽しんで欲しいです。あと、、、いいバンドがいたら教えて下さい。お客さんの口から聞くのが一番信用できるから。

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『DIVA』

2002/10/30 OUT
TOCT-22211 / 1,000yen

amazonで購入

LIVE INFOライブ情報

2002/10/30(wed) 下北沢SHELTER
18:30/19:00
adv/¥2,300- door/¥2,500-(+drink代)

2002/10/12(sat) 札幌KRAPS HALL
2002/11/8(fri) 新宿LOFT

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