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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】BURGER NUDS(2002年11月号)-10年後とかに振り返って、ここで変わったんだなって言えるターニングポイントって言えるんじゃないかな

10年後とかに振り返って、ここで変わったんだなって言えるターニングポイントって言えるんじゃないかな

2002.10.01

切なく、優しく、尖った感性であまりにも個性的なサウンドを紡ぎ出しているBURGER NUDS。その繊細かつ荒々しいサウンドは、聴く者の心に何かを呼び起こさずにはいられない。そんな彼らが、自ら「ターニングポイント」と言い切る新作「kageokuri」がリリースされた。この一枚に込められた彼らの思いとは...。 (interview:北村ヂン)

10年後とかに振り返って、ここで変わったんだなって言えるターニングポイントって言えるんじゃないかな

──結成のいきさつみたいな所から教えて頂きたいんですけど。

丸山:元々高校の同級生だったんですけど、最初はBURGER NUDSの前身バンドがあって、その時は他にもメンバーがいて5人でやってたんですよ。でも音楽へ対する姿勢とか色々あって、その後にこの三人で話しててまじめに音楽をやろうってことで今の形になったんですよね。

内田:それで、一年前の春にテレスコープのレーベルのコンピレーションに参加して、それからどんどんライブも増えてきてって感じです。

門田:実は今日(10/14新宿ロフト)がちょうど100本目のライブだったんですよ。今年の夏なんて8月だけで10本やってるし。でもその時は楽しいというよりは、大変だっていう気持ちが多かったんですけど、今みたいに一ヶ月おきにライブ、みたいになっちゃうとなんか本当に生きてないみたいな感じなんですよね。自分はライブをやってないと駄 目なんだなって思いました。

内田:ライブって一見「出す」行為に見えるんだけど、それ以上に得るものが多いと思うんですよ。ライブをやらない時期が続くと刺激がないなって感じますね。

──逆にお客さんの方からしても、ライブって「観る」だけのものじゃなくて、自分から何かを「出す」場所でもあるでしょうからね。

門田:そうですね。ライブの時にお客さんを見てると、俺たちの曲を聴きながらも、そういう部分が自分の中にあるっていうのを確認してるように見えるんですよね。例えば「ANALYZE」っていう曲が大好きな人は、それを俺たちから吸収したんじゃなくて「ANALYZE」が自分の中にあったんだってことに気づいたんだと思います。

丸山:極論言っちゃうと、曲は単なるきっかけに過ぎないから。曲を聴いて何かを感じたってことは、貴方の中にそういうものがあったっていうことなんだよね。それでいいと思ったり、悪いと思ったりするわけだから。

──そういう部分でお客さんと共鳴して、自分の中で自分たちの曲の意味が変わっていったりってこともありますか。

門田:ありますね。言ってしまえば、俺にとっての曲の意味なんて、お客さんにとっては全くなくていいと思ってます。それぞれの中で「こうだ」って思ったらそれが正解だと思うんですよ、だからそれを大切にしてもらいたいですね。曲って自分の中でも常に変化していくものだから、その意味を何か一つに限定しちゃうと、曲の生命力が無くなっちゃうんじゃないかな。

内田:音楽を世に出したり、ライブでやったりって時に、自分らの解釈とか情念を押しつけるのは駄 目なのかなっていうのは最近よく思いますね。

──そういう意味では、BURGER NUDSの歌詞って断片的というか、具体的に説明するような歌詞じゃなくて、素材を投げつけて判断を委ねるみたいな歌詞が多いですよね。

門田:うん、やっぱりストーリー的な歌詞だと意味が一つに限定されちゃうからね。一つの意味しかない音楽っていうものに、あんまり興味がないんで。俺は洋楽がすごい好きなんだけど、英語なんて全然わからないから。だから俺は作った人の中での意味なんてどうでもいいんですよ。歌詞の意味はわからなくても俺の中では風景とか感じるし、意味も俺なりには持ってるし。BURGER NUDSを聴いてる人にもそういう音楽を提供したいなって思ってて、でもやっぱり日本語でやりたかったんでこういう形になってるんですよ。

──なるほど、日本語で有りつつも、想像力を刺激するような歌詞ですよね。洋楽とかでも、最初から訳詞とかを見ながら聴いたものより、意味はわからなくても、自分なりの解釈をして自分なりに想像したイメージの方が心に深く残りますからね。

門田:まあとんだ勘違い野郎になっちゃうかもしれないけどね(笑)、俺も訳詞を読んでみて「こんなアホな歌詞だったのか」っていうこともあるし。

──そういうのってメンバー間にもあるんじゃないですか。メンバーそれぞれの中でそれぞれの情景が浮かんでいるんだと思いますけど、その辺の統一ってどう取ってるんですか?

丸山:無理に統一させようっていうのはなくて、自分たちで気持ちいいように重ねていった結果 が曲があるわけだからね。

内田:それが溶け合ったところがBURGERNUDSなんじゃないかな。バンドの中で俺はドラムをやってるんだけど、ドラムをやっているというイメージじゃないんですよ。「曲」をやってるって感覚ですね。

丸山:スタート地点からそうだったからね。俺はバンドやる前はドラムをやってて、ベースなんかやってなかったし。ギターがやりたい、ベースがやりたい、じゃなくてやっぱりバンドをやりたいっていうことから始まってるから。

──ドラマーとギタリストとベーシストが集まってバンドを作った訳じゃないと。

門田:もちろんバンドをやる上で、パート分けみたいなものはあるんだけど。それでも、「ドラムはお前にまかせるよ」って感じじゃないからね。

──それぞれが全体のハンドリングをしている感じですか。

門田:誰かについて行くんじゃなくて、全員が指揮官としてちゃんと考えてるんですよね。高校の頃は俺、ずっと自分で曲作ってて、わりと一人でカッチリ作ってたんだけど、もう俺はそういうのはやりたくないんだなって気づいて。要するにその時は他人と一緒に曲を作れるなんて思ってなかったんですよ。

──考え方によっては一人で作った方が、自分のイメージ通りにできるからいいっていう人もいそうですけどね。

門田:確かに自分で操作できるんだけど、それだと自分の想像を超えないじゃないですか。で、このバンドでセッションして曲を作ってみたら、それがすごいうまく行ったんですよ。それを知った瞬間っていうのが俺の中でものすごくデカくて「そうか、これがバンドか」って思いましたね。 そんなことができなんて思ってもみなかったから

──1+1+1で3を超えたってことなんでしょうね。

門田:まあ音源を作る作業の方はまだまだ勉強しなきゃって感じだけどね。

内田:今までの音源は、ライブでやってた曲を集めて作ってたんだけど、今回の「kageokuri」はライブでやらないで、直に音源にした曲なんですよ。バンドって曲がなかったらなにもできないじゃないですか、でも俺らの場合、曲を作る過程の中でライブが必要なんだってすごい感じましたね。今回は新しい挑戦だったんで辛かったけど、得るものも大きかったです。

門田:生まれたての赤ちゃんをそのまま出しちゃったって感じだよね。

丸山:自分たちの曲でも、ライブでやってる内にどんどん変わっていきますからね。

──ある意味、より素材に近い状態で音源にしたということですかね。

内田:だからすごい生々しい音源だと思いますよ。

門田:だから、出来たばっかりの頃は聴きたくなかったですからね。辛いことばかり思い出しちゃって。

内田:作ってる最中は不安で寝れなかったもん。

門田:でも結果的に作ってよかったとは思うよ。

内田:うん、すごい一気に可能性と視野が広がったような気がしますね。それがいいのか悪いのかわからないけど。

門田:これからがまた面白そうだよね。

丸山:これからどう進んでいくのかわからないけど、10年後とかに振り返って、ここで変わったんだなって言えるターニングポイントって言えるんじゃないかな。

──最初一人で曲を作っていたのが、バンドで曲を作るようになり、そして今回また新しい作り方をしてみて、次の段階に入ったのかもしれないですね。そんな感じで、新宿ロフトで初のワンマンを行うわけですけど、気持ち的にはどうですか。

丸山:え、やるのって感じですね。

門田:ワンマンやるなんて思ってもいなかったから、びっくりって感じだよね。まあ自然な形なんだろうけど。とにかく俺は長い時間ライブをやりたかったんですよ。そしたら結果 的にワンマンだったという話ですね。正直、大丈夫なのかなっていうのも大きいですけどね。

内田:逆にまだワンマンやってないなっていう感じもしますけど。

門田:100本もライブやっていながら、まだ一回もやってなかったっていうのは意外っていえば意外なんだけど、……しかもそれがロフトでやれるじゃないですか、嬉しいよね。

内田:きっとそれをやることによって、見えなかったものが見えるようになるかもしれないよね。なんか、人ごとみたいなんだけど興味がわきましたね。自分らはどういう風に観せられるんだろうっていう期待とか、どうなんだろうって心配な部分もあるんだけど、その「どうなんだろう」って部分も楽しみなんですよ。

門田:自分の想像をよくも悪くも裏切りますからね。でもそういうのはずっと持っていたいよね。

──最後にワンマンに来てくれる人たちに一言お願いします。

門田:俺は自分の曲を聴かせるから、貴方は貴方の曲を聴いて欲しいですね。ありがとう!

内田:言えることは自分で好きなように楽しんで下さいってことだけだね。俺らも楽しむから、君らも楽しんで下さい。

丸山:皆が好きなように楽しんでくれれば、きっとそこで何か感じることがあると思うからね。

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