──今の若い世代は、名前は知ってても岡村ちゃんの本当の凄さがイマイチ判らないと思うんですよ。朝日さんから見た、岡村ちゃんの「ここが凄いんだ！」っていうのはどんな部分でしょう？

 

朝日：岡村さんを元々知ってる人には「恰好悪いのが恰好いい」という部分、あの破天荒なパフォーマンスが素晴らしいのを力説したいですね。岡村さんを全く知らない方には「とにかく曲がいい、詞がせつないんだよ」っていうことを知らせたくって…。そういう意味でこのトリビュート盤を作ったんですよ。当時、岡村さんの濃厚なキャラのせいで岡村さんの音楽を聴かなかったっていう人がたくさんいることも知ってたんで。たくさんの名曲があるのに、それが聴かれないままなんて凄くもったいないし、あの時代に埋もれて閉じ込められたままなのを解放したかったんです。 

 

斎藤信子（TOWER RECORDS）：このトリビュート盤をきっかけに、岡村さんのファンになった若い方も増えてるらしいんですよ。去年出た岡村さんの『OH! ベスト』も連動して結構動いてるみたいで。

 

朝日：このトリビュートは今のセンス、感覚で届けたいっていうのがあったんです。このアルバムを2002年に出す意味をちゃんと表現したかったというか。

 

──岡村ちゃん本人はこのトリビュート盤をどう受け止めてるんですか？ 

 

朝日：「レコード聞かせていただきました。たいへん楽しませていただきました」と言って下さいました。「今まで誰も見たことのない街に招待してもらっているような、今まで吸収できなかった空気を吸収できたようなフレッシュパンチをもらいました」と。“ああ、自分がやりたかったことが伝わったんだな…”っていう気持ちで一杯です。最初はこれを作ったら“（本人が）怒っちゃうかな？”なんて覚悟してたんですけど、それでも作る意味があると思って。でも結果 的には予想以上に喜んで下さって…。

 

──このアルバムの制作過程で、ご本人と対面したことはないんですか？

 

朝日：ないですね。コンビニで岡村さんを偶然見かけて、店から出てくるまでずっと見張ってたことはあったんですけど（笑）。 

 

──このトリビュート盤をきっかけに、ご本人が自分の創作活動にやる気を見せてくれればいいんですけどね。

 

朝日：そうですねぇ…。 

 

──もう段々と大瀧詠一さんみたいな活動ペースになってるじゃないですか。ジャイアンツが勝たないと仕事しねぇぞ、みたいな（笑）。

 

朝日：この間、SOPHIAのシングル（「HARD WORKER」）をプロデュースして売れちゃったから仕事しなかったりして（笑）。早く表舞台に出てきてくれるといいですけどね。ロフトのイヴェントにも出てきてくれないかなぁ～。

 

──本人をロフトに担ぎ出す裏工作はしてないんですか？（笑）

 

斎藤：ご本人もライヴは凄く気にして下さっていて、「遊びに行きたい」と仰って下さってると人づてには伺うんですけどね。

 

──ロフトで行われるイヴェントの面子も、朝日さんが直接一人一人に呼び掛けて？ 

 

朝日：はい。皆さんのスケジュール調整っていうか…殆どマネージャーみたいな（笑）。

 

斎藤：一時期、参加アーティストの皆さんのスケジュールを完全に把握してましたよね。「ああ、HARCOはその日、大阪に入ってて…」とか（笑）。 

 

朝日：当日は私も何があるか判りません。ひょっとしたら岡村さんが観に来るかもしれないし。飛び入りのアーティストもあるかもしれないし。 

 

──本編のライヴの後には深夜にDJイヴェントもあるし、この日は普段に増して濃ゆい歌舞伎町になりそうですねぇ（笑）。

 

朝日：当日は凄くブチ切れたライヴになると思いますよ。アーティストがたくさん出るし、それぞれが短い時間の中で岡村さんへの想いを濃厚に成就しようとするので。この間のタワーレコードでやったインストア・ライヴもか～なり濃かったので、29日は濃すぎてロフトが壊れちゃうんじゃないかと（笑）。直枝さんからは「全部岡村さんのカヴァーのみで挑戦したい！」という情熱のこもったメールをもう数ヵ月も前に頂いているので（笑）。この間のインストアでも、直枝さん、いっちゃってました。息が切れてMC言えてなかったし（笑）。とにかくこの日は観てる人も一緒に昇天してほしいですね！