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石川忠 「野火 オリジナル・サウンドトラック」

2018.08.31   MUSIC | CD

CHU-001
2,700yen(tax in)
IN STORES NOW

 塚本晋也監督のほぼ全作品の音楽を手掛け、日本におけるインダストリアルミュージックの草分け的存在として知られる石川忠が昨年末に他界した。この作品は石川忠が最後に手掛けた塚本作品『野火』のサウンドトラックである。『野火』は戦時中の日本兵の様子を、現実過ぎるほど現実的に映し出した映画であるが、対抗することすらできない大きい存在に、どうしようもない所まで追い込まれた人間の狂気と現実をその無機質ながらもどこか厳格で美しさを内包した彼の音楽でさらに加速させている。インダストリアルやアンビエントと聞くと少し構えてしまう人もいると思うが、生音に忠実で、鳴りやむことなく広がり続ける彼の音は聴き惚れる程に美しく、聴く人すべてを魅了するものだと感じた。この作品を通して、『野火』を知り、石川忠を知り、彼の表現の多彩さと表現したかった物を風化させないでほしいと願う。(新宿LOFT:小林駿仁)
 

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