2018年5月よりシアター・イメージフォーラム他全国順次公開
2011年の「オリンパス損失隠蔽事件」を憶えている人は少ないだろう。雑誌FACTAのスクープと英国人元社長マイケル・ウッドフォード氏の不当解雇により、明るみになったこの事件は、当時日本で大きく報じられることはなかったが、海外メディアでは大々的に報道された。本映画は、事件の中心人物のマイケル・ウッドフォードをはじめ、事件をスクープした編集者やオリンパス元専務らに当時、名門企業の中で何が起こっていたのかを丹念に取材していく。そこから浮かび上がるのは、グローバル化が進む現代において、なぜ日本のメディアは「忖度」し、「自主規制」を課していくのか、そして事件の「その後」を報道せず、全てが風化し「なかった事」にし、「忘れていく」メディアの在り方、国民の「無関心」さがあぶり出されていく。まさに、モリカケ問題や原発問題など、今に続く日本社会の暗部を映し出していると言える優れたドキュメンタリーだ。(加藤梅造)