銀杏BOYZによる”ロックの光と影の三部作”が、ついに完結してしまった。「人間」「光」を経た、「生きたい」。収録尺の15分11秒間は地獄のようだ。聴くことをやめて逃げ出したくなり、曲が終わると「これは何だったのだ…」と呆然とする。最後の1秒にまで漂うのは、押し込められた情念あるいは怨念と、生きている人間の業の愛おしさ。曲中に何度も出てくるフレーズ「真っ黒いのが冷たいよ」「生きているだけで輝いてみたい」に見え隠れするのは、知らない誰かの人生が持つ背景だ。ライブ中、峯田が何度もスタンドマイクを客席に向けるのは、この曲と同じ意味なのではないだろうか。これは生きている人間、ひとりひとりの曲だ。そして、感情的にしか聴けない曲だ(2曲目の「ぽあだむ」は、クボタタケシが12年ぶりにリミックスを手掛けたということを書きそびれるくらいに)。三部作は終わった。だが銀杏BOYZは続く。その限り、まだ「生きたい」。
(Rooftop:成宮アイコ)