癌による訃報を聞いた瞬間は本当にビックリしてしまった。なぜなら死の２日前、彼の69回目の誕生日に通算25枚目となるニューアルバムがリリースされたばかりだったから。しかもその内容が彼の面目躍如ともいうべき先鋭的で素晴らしい作品だったから。とても信じられなかった。それほど熱心なファンではなかったけれどしばらくは呆然状態。ああ。今作はケンドリックラマーの新作に影響を受けたということもあり、マリア・シュナイダーをはじめ、菅奏者のダニー・マッキャスリン、鍵盤にジェイソン・リンドナー、ベースにティム・ルフェーベル、ドラムにマーク・ジュリアナら新世代の気鋭のジャズミュージシャンを起用している。そうしたアルバムにもかかわらず、ジャズでもロックでもエレクトロニックでもないまさに完全にボウイの作品になっているところが凄い。こんな格好良い死に方ってあるんだろうか。

（Loft PlusOne West 渡辺智之）