サックス奏者の奇才・片山広明と言えば、生活向上委員会、渋さ知らズ他、様々なセッションで多くの人に知られるが、私にとっての片山さんはなんといってもRCサクセションのホーン隊としてその名を記憶した。清志郎がソロになってからもデ・ガ・ショーなどで共に活動し、最後のバンド・メンバーでもあった。テーマだろうがアドリブだろうが魂の赴くままとにかく吹きまくるそのプレイは一度観たら忘れられないインパクトを持っている。酒好きの片山さんは肝臓病を患い何度も入退院を繰り返しているが、このほど復活したことを機に「冥土の土産」として作品を作ろうと、石渡明廣、早川岳晴、湊雅史という最強メンバーと共に録音したのが本盤。「首の差で」「朝日のあたる家」「愛の賛歌」などのスタンダードを後期キング・クリムゾンをも思わせる重厚な演奏でプレイする全7曲は、とても病み上がりとは思えない大迫力だ。冥土に行くにはまだまだ早すぎる名盤!(Rooftop:加藤梅造)