かつてこんな凄いレコードが存在していたとは! 日本のニューロックの第一人者・サミー前田が主宰するVOLTAGE RECORDSから発掘された本盤は、ザ・ハプニングス・フォーのぺぺ吉弘が結成したバンド「羅生門」が1971年にリリースしたもので、なんと日本国憲法の第一章から十章までを歌詞にして1枚にまとめ上げた壮大なコンセプト・アルバム。ただの際物ではなく、ボーカルにポール・リー(ザ・ハーフ・ブリード)、キーボードに近尾春親(近田春夫)、作編曲としてクニ河内が参加と強力なメンバーによる楽曲群はどれも素晴らしい。まさにソフトロック/ラウンジ・ミュージックの幻の名盤だと言えるだろう。サブタイトルに<平和・自由・愛>とあるように、日本の平和憲法の持つ理念をポジティブにロックとして呈示している。現政権は改憲に躍起になっているようだが、この最高にロックな憲法が過去のものにならないことを願うばかりだ。(Rooftop:加藤梅造)