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トップレビューTHE ROOSTERS/eating house 〜"STILL OK" LIVE AT FUKUOKA SUNPALACE 16 FEB. 2013〜

THE ROOSTERS/eating house 〜"STILL OK" LIVE AT FUKUOKA SUNPALACE 16 FEB. 2013〜

2013.09.03   MUSIC | DVD

BM tunes XBBV-4003
定価:5,250円(税込)
2013年9月25日(水)発売

【収録曲】
01. TEQUILA
02. SHE BROKE MY HEART'S EDGE
03. GOOD DREAMS
04. I'M SWAYIN' IN THE AIR
05. HEY GIRL
06. ROSIE
07. GIRL FRIEND
08. FOOL FOR YOU
09. CHOCOLATE & WINE[新曲]
10. LEATHER BOOTS
11. SHE DOES IT RIGHT
12. BABY SITTER
13. VENUS
14. ニュールンベルグでささやいて
15. CASE OF INSANITY
16. SAD SONG
17. LET'S ROCK(DAN DAN)
18. 恋をしようよ
19. C.M.C.
20. C'MON EVERYBODY
21. WE WANNA GET EVERYTHING
22. LITTLE RED ROOSTER
23. 新型セドリック
24. ONE MORE KISS
25. どうしようもない恋の唄
26. MONA(I NEED YOU BABY)

 今年の2月16日に福岡サンパレスで行なわれたザ・ルースターズのオリジナル・メンバー──大江慎也(vo, g)、花田裕之(g, vo)、井上富雄(b)、池畑潤二(ds)によるスペシャル・ライブ『STILL OK 〜ROOSTERS BEST SONGS PARADE ここから始まる新たな歴史〜』を収録したDVDが9月25日に発売される。開催直後から映像化を求める声がFacebookの公式ページにも数多く寄せられていただけに、これぞ待望のDVD作品と言えるだろう。
 大江が考案したとおぼしき『eating house』というタイトル(飲食店、安料理店の意)は、この日惜しげもなく披露されたレパートリーの多彩さをレストランのメニューの豊富さになぞらえたといったところか。
 確かに、ルースターズが当日振る舞ったフルコースは絶品だった。客が等しく求める人気料理を満遍なく提供する姿勢がまず良かったし、料理が運ばれてくる流れやタイミングもよく練られていた。最初から最後まで前菜もスープもない。本編はずっと極上メイン料理の連続。それでもまだ食い足りない客のリクエストに応えて3回もアンコールという名のデザートをサービスするなんて、どれだけ大盤振る舞いなんだという話だ。
 本DVDもまた、質実ともに大盤振る舞いの豪華盤。本編・アンコール合わせて全26曲・110分に及ぶ怒濤のライブ映像に加え、メンバーのインタビュー、ライブ前日のプレ・パーティーの模様などを収録した30分の特典映像まで付いているのだから、まさに一家に一枚の永久保存盤である。

 今回のセットリストの大きな特徴は、オリジナル・フォー以降の楽曲まで幅広く取り上げる趣向にあった。当時は解散ライブと銘打たれたものの、今日の復活につながる発火点となった2004年のフジロック以降、「SHE BROKE MY HEART'S EDGE」、「GOOD DREAMS」、「VENUS」といったネオサイケ的な耽美な音世界を標榜した中期の代表曲がこの4人によって演奏されたのは初めてのこと。
 他にも大江書き下ろしの新曲「CHOCOLATE & WINE」、演奏されること自体が珍しい井上による作詞・作曲の「BABY SITTER」、後半の一部を「人はそれを狂気と呼ぶ、でもぼくは気にしない」と初めて日本語詞で唄われた「CASE OF INSANITY」、大江が「呑まないと唄えない」と缶ビールを煽りながらも30年振りに生演奏された「どうしようもない恋の唄」(「一人で読書」と歌詞も変わっていた)等々、見所は多々ある。円熟味を増したメンバーの技巧に思わず息を呑む「ニュールンベルグでささやいて」のように、楽曲の進化とバンドの成熟を実感できる例も多い。「ROSIE」や「LET'S ROCK(DAN DAN)」といった人気曲は当然の如く押さえられているので、完膚無きまでの“BEST SONGS PARADE”である。
 また、「恋をしようよ」の途中で大江が歌に入るタイミングを見失うものの、3人がうまく調子を合わせて持ち直す場面などはバンドの結束感と4人の信頼関係が垣間見られて微笑ましい。通常ならカットされるだろうこうした楽曲を潔く残すところは逆に好感を覚える。最初は声が嗄れ気味だった大江が徐々に調子を取り戻して圧巻のパフォーマンスを見せる様も、臨場感が伝わって良い。

 10月7日(月)、8日(火)にはこのDVDの発売を記念したライブ『THE ROOSTERS DVD “eating house” RELEASE COMMEMORATION 禁じられた遊び〜COLD SWEETS FOR YOU〜』が京都 磔磔で開催されることも決定。今回のDVD発売と磔磔でのライブは、これまで“点”でしかなかった彼らの活動が今後“線”となっていく布石のように思えてならない。『eating house』で見られる4人のすこぶる良好なコンディション、ルースターズとしての活動に対する大江の並々ならぬ意欲がそれを物語っている気がするのだ。渇望されている東京でのライブや全国ツアー、あるいはオリジナル作品の制作という以前なら全くの想定外だった話も今なら可能性ゼロではないのではないか。
 いずれにせよ、ルースターズは『STILL OK』で窮屈な古典として閉じ込められるよりも34年間続く物語の次なる一頁を自らめくってみせた。『eating house』と題されたDVDは、その新たな歴史の幕開けをとらえた貴重なドキュメンタリーとしてバンド史上極めて重要な作品なのである。(text:椎名宗之)


Live info.
THE ROOSTERS DVD “eating house” RELEASE COMMEMORATION
禁じられた遊び〜COLD SWEETS FOR YOU〜

2013年10月7日(月)/10月8日(火)京都 磔磔
【出演】THE ROOSTERS(Vocal & Guitar:大江慎也/Guitar:花田裕之/Bass:井上富雄/Drum:池畑潤二)
【時間】OPEN 18:00/START 19:00
【チケット】前売:5,500円(DRINK別)
*チケットはぴあと磔磔店頭にて発売中
【問い合わせ】磔磔:075-351-1321
 

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