ここ最近気持ちが沈む事が多くて、いつになったら楽しく笑える事ができるんだろうってずっと思っていた。真っ暗な闇の中を、手探りで彷徨い続けているような、見えないものへの恐怖を感じていた。そんな時に届けられたのがつばきのニューアルバム『夜更けの太陽』だった。1曲目は、“明日は明日の風が吹く”という言葉から始まる『太陽』。“明日は明日の風が吹く”…わかってはいるけど、ギリギリまで追い込まれると理解する思考回路が完全に停止し、結局抜けられない迷路に入り込んでしまう。しかし、この言葉がサウンドに乗せて伝えられることにより、全てのものを拒否していた気持ちにスッと風を通してくれたような気がした。
そんな個人的な話はよいのだが、つばきが10周年を迎えたこの年にリリースされる今作。今月号のインタビューでもボーカル&ギターの一色が言っていた、聴いてくれる方や応援してくれる人たちへの感謝の気持ちと、最終的には自分たちがやりやすい形で一番良いと思えるものが出せれば良いというシンプルな考えに行きついた。この作品にはつばきの3人の音楽に対する純粋な思いとか、音楽に向き合う姿勢が詰め込まれているのだ。前を向いて歩を進めている彼らが、これまで歩んできた軌跡、そしてこれから向かう先が感じられる作品だった。そして、自分のタイミングが重なったというのは大いにあるが、背中をポンと押してくれる作品にこのタイミングで出会えたことがすごく嬉しかった。
(Rooftop:やまだともこ)