真っ白なキャンバスを無心に塗りつぶしていくような、そんな音楽。完成された作品は無機質でありながら芸術的で、内に秘めた人間臭い感情がまるで波を打つようにうごめいている。彼らの音楽を聴いていると、目の前の時間が過ぎていくことすら感じない。「心を奪われる」というより、「取り憑かれる」という表現が近いようにも思える。white white sisters(以下、wws)という、23歳の男性2人が作り上げたモンスターが、このディスクが回った瞬間にむくむくと巨大化して、時間も空間も彼らの色に染め上げてしまう。ライブに至っても、音楽に合わせた映像を駆使したパフォーマンスに、視覚も聴覚も刺激されて踊らずにはいられない。一個一個の音の粒子が、ライブハウスのフロアを動き回っているような感覚。
ちなみにこのwwsは、名古屋在住のロックユニット。またしても名古屋かと言われそうだが…名古屋のロックシーン独特の人間味あふれる感じが、やっぱり私にとって大きな魅力なのだ。(新宿LOFT:松浦由香理)