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トップレビュー猿ダコンクリート / 空の下、足の先

猿ダコンクリート / 空の下、足の先

2010.03.01   MUSIC | CD

DDCL-6004 1,680yen (tax in) / IN STORES NOW

変なバンド名である。それだけ聞くと、どこのハードコア・ノイズ・アバンギャルド・バンドなのかと思う。わくわくしながら再生ボタンを押してみると、そこに現れる音風景もまた、変である。1曲の中で、これでもかというぐらいにめまぐるしくリズムが変化していく。変拍子ドラムや変態ベースが、無秩序なまでにあっちこっちで拍を起伏させ、その突端からは2本のギターが縦横無尽に鳴り響いている。その間隙を縫うように、ボーカルは起伏を手なずけながら乗りこなしており、エモーショナルでありながらどこか浮遊感を漂わせている。しかし、そんな変なグルーヴに乗って放たれる、身体の中心から搾り出されるようなメッセージには、視点を社会問題・環境問題に向け、そこにある現実に対しての無力感と焦燥感に溢れている。この社会の構造、それが生み出す弊害に目を向け、地球規模で本当に大切なものがなんなのか「探し 観て 考え 選び 捨て 拾う」。30分強のコンパクトディスクがわれわれに提示するものは、世界と人間との向き合い方だ。08年に発表された前作で、大阪ポストロック新時代の旗手として注目を浴びた彼らだが、今作において限りなく自由自在。概念としてのカテゴライズには収まらない独創的なアルバムとなった。(Asagaya/Loft A:山崎研人)

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