
映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』
【出演】
忌野清志郎 三浦友和 竹中直人 三宅伸治 泉谷しげる 梅津和時 角田光代 金平茂紀 百世
SWEET LOVER SOULS:Rei ジェットセイヤ(go!go!vanillas) 休日課長(ゲスの極み乙女、DADARAY、ichikoro、礼賛) 渡 和久(風味堂) 梅津和時 Deu(PEOPLE1) Ito(PEOPLE1) Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION) アイナ・ジ・エンド jo0ji 茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ) 東京スカパラダイスオーケストラ Horn Section
【監督】相原裕美
【エグゼクティブ・プロデューサー】佐藤現 案納俊昭
【プロデューサー】宮本泰宏 武井哲 高根順次 竹下新悟
【ラインプロデューサー】和田朋紘 岡田敏志
【撮影監督】諸沢利彦
【照明】鈴木大地
【録音・整音】井筒康仁
【サウンドエンジニア】小西康司
【編集・カラリスト】茶圓一郎
【アニメーションディレクター】伊藤有壱
【制作協力】Padma
【制作】スペースシャワーエンタテインメントプロデューシング
【配給】東映ビデオ
2026年/日本/カラー/ビスタ/Digital/5.1ch/124分
© 2025 Kiyoshiro Movie Project
【公開日】10月2日(金)新宿バルト9 ほかにて公開
忌野清志郎の活動の軌跡を辿ったデビュー55周年記念ドキュメンタリー『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』がいよいよ公開。監督は、『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』(2024年)を手掛けた相原裕美。
なんといっても膨大なアーカイブから厳選したライブ映像が素晴らしい。「おかっぱ頭の可愛い男の子」(三浦友和談)の頃からあの声であることに驚く。リリースしたもののほどなくして廃盤となった「スローバラード」を歌う1976年のライブの凄み、80年代の日本武道館や日比谷野外音楽堂のいわゆるバンド絶頂期の躍動感、ザ・タイマーズのライブ、路上でのゲリラライブ、復活のライブなどなど。ほかにリハーサル風景などをほぼ年代順に辿っていく。
道標のように挟まれる関係者のインタビューには、初期の頃から交流のある三浦友和、竹中直人、泉谷しげる、長きにわたり活動を共にした三宅伸治、梅津和時、ジャーナリストの金平茂紀、作家の角田光代、そして忌野清志郎の長女で消しゴムハンコ作家の百世が登場。梅津和時が話す曲作りやライブの現場のこと、ステージで思ったことなど生き生きとしていて、特にバンドマンは憧れるだろうし共感もするだろうし学ぶこともあるだろう。またアーカイブで坂本龍一、忌野清志郎が渋谷陽一のインタビューに答える姿も!
バンドマンとしての活動の軌跡が多面的且つわかりやすく映されていく。
忌野清志郎という唯一無二の存在を語るのに出てくる言葉は、「言いたいことを言い、やりたいことをやり続けた」というものだが、インタビューに登場するそれぞれの心にそれぞれの忌野清志郎がいる。私が最も共感したのは坂本龍一の「ほとんどの日本人が、一億人が、言いたいことを言ってない。一人で勝手に言いたいことを言っている」「なんで日本は、こんなに言いたいことが言えない国になっちゃったのか。たぶんそれをずーっと清志郎は言っているんですよ」という言葉。言いたいことを言う、歌いたいことを歌う。ずーっとそうしてきた忌野清志郎は、どうやら言いたいことを言うのを許さない世の中だってことに気づいた、いや最初から気づいていた。
映画を観ながら、彼の音楽をどうして好きになったのか、どこが好きなのか、どういう存在なのか、意識せずとも考えていたような気がするし、私は昔からそうやってRCサクセションを聴いていたと思う。あんなにストレートなのになんでこんなにグッとくるしこんなに考えさせられるのか。考えるたびに扉が開かれるような感覚があった。
たとえば私は「愛し合ってるかい?」をギャグだと思っていた。観客が全員同じ反応をするこの呼びかけは、全員が同じような反応をする当時のニューミュージックやロックを皮肉ったギャグだと。観客もそれを承知で「イェーッ」と大声を出しているのだと。私はそうだった。捻くれた高校生だった。だけど「愛し合ってるかい?」はギャグでも皮肉でもなく、愛がある世の中に、愛し合える世の中にしたいと本気で言っているのだと思うようになった。「イェーッ」と大声を出す大勢の人々は希望に見えた。そりゃ怒りに満ちた曲だって、実にカッコイイ怒りの曲だってある。だけどそれは何かへの反抗ではなく、自由でいるために、愛し合える世界にするために必要な曲だ。「愛し合ってるかい?」と笑顔で呼びかけることと怒りに満ちた曲を歌うこと、気持ちの原点はなんら違いはない。戦争反対と言い続ける覚悟と「愛し合ってるかい?」と問う気持ち、なんら違いはないはずだ。
『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』というタイトルに引っ張られたのか、自分にとって忌野清志郎とは? と考えることができた映画だ。
後半、忌野清志郎も出演していた野外フェス『SWEET LOVE SHOWER』をきっかけに組まれた、若手を中心にしつつ梅津和時も参加したトリビュートバンド、SWEET LOVER SOULSのライブがリハーサルから含めて映される。リハーサルまで映画に必要か? と思ったけど、梅津和時が若いメンバーに、とある曲の解釈を丁寧に伝える。それがとてもいい。(Text:遠藤妙子|@TaekoEndo)














