本書は芸能活動50周年を迎える関根勉さんがその長いキャリアを振り返りながら様々な経験の中でどうやって芸人「関根勤」ができていったのかを紐解く内容となっています。
幼少期の経験からお笑いへの目覚め、学生お笑いと芸能界デビュー。そして娘の誕生から子育てまで。関根勤さんの人生の嬉しかった出来事から失敗までを自身の言葉で包み隠さず話されていました。
素人が出るテレビ企画に出演してそのまま芸能界に足を踏み入れた関根勤さんは右も左もわからないままに手探りで自身の芸風を披露し、いろんな人から怒られたり助言を貰ったりして今まで芸能活動を続けてこれたと言います。そしてその長い芸能活動の中で多くの成功と失敗を経験し、そこで得たことをこの本を通じて多くの人に教えてあげたいという思いが伝わってきました。
関根勤さんの評判と言えば、「関根さんの悪口を聞いたことがない」とか「関根さんを嫌いな人は芸能界にひとりもいない」といった好感度の高さだと思います。
本書のタイトルが『関根勤の嫌われない法則』であるように、関根勤さんが本書の主題として扱ったのはどうすれば人と仲良くできるかでした。一見幼稚なように思いますが、これはとても深いテーマだと思います。特に癖の強い人が多い芸能界で多くの人と良好な人間関係を築くことは簡単なことではないと思います。関根勤さんは一生懸命自身の人との向き合い方を伝えようとしていました。
私はこの本を読んで、関根勤さんが人に好かれる理由の一つは一生懸命真っ直ぐに自分の思いを伝えたいという気持ちがあるからなのではないかと思いました。
この本は各ページの左下に関根勤さんの変顔が百何十ページにわたり全部違う顔で載っています。また、各章ごとの区切りでもお決まりの変なポーズをした関根勤さんの全身の写真が載っていて一見ふざけているように見えますが、これが関根勤さんなりのエンタメとの向き合い方だとわかれば彼が真剣にこの本の制作に取り組んだことがわかります。
関根勤さんが50年間に及ぶ芸能活動の中で自身の経験から得たことを一生懸命この本で伝えようとしています。ぜひどんなことが書かれているのか読んで確かめてみてはいかがでしょうか。(阿佐ヶ谷ロフトA:永井淳也)