学問と思想は対立していた
「チ。」とは地動説の「チ。」。天動説が当たり前だった時代、学問よりも思想が正しかった時代の話。今は当たり前になったことが、昔は禁忌だったこと、自称によってそれを追い求めることが命に係わる時代があったのは歴史的にも知られていることですが、それは今も同じかもしれないですね。
間違えたことでも声が大きいこと、支持を集める事柄が正しいとされるのは、悲しいですがいつの時代も当たり前のように起きています。心の中に澱のように沈殿した疑問が揺さぶられ、浮上してきたある日。排他的な大多数による暴力に反旗を翻し、命を懸けて受け継がれていく思想。世界を否定し正しく解明しようとするこの思想もまた暴力になっている面もあるのかもしれない。
この双方の暴力はどういう終局を迎えるのか。繋がれて行くバトンの先を早く読みたい作品です。(LOFT/PLUS ONE 柏木 聡)