「Play it loud」、双子たちの青春バンド漫画…コロナ下に尊いライブハウス情景
可愛い双子姉妹と従兄の3ピースバンド「ツインズシング」。前橋で人気を博しインディーズからCD発表、雑誌取材受け……まで至るも、「ドラマー翔が大学進学するから」と、双子は勝手にステージ上で解散宣言をしてしまう(ある意味伝説のバンドとして名が残った)。
しかし事前に相談されなかった翔はまだバンドの夢を諦められず家に転がり込んできた双子に再始動を持ちかけ、映画「セッション」のようにひたすら狂ったようにドラム練習を敢行、ボロボロに……。四谷のライブハウスに顔を出し、ハコと舞台の空気を久しぶりに吸ったGr、Vo担当、気が強いけど双子の妹・晴音は解散の意外な真相を明かすーー。
この漫画はまさにコロナ禍が日本で本格的に拡大する直前の2020年1月からWEB媒体こみっくめづで連載されている。現実世界でライブハウスは比較的初期に「クラスター発生」が報じられ、諸悪の根源のように喧伝されており、この漫画内で描写される激しい音に身を任せた熱狂、歓声や狭い楽屋などの世界がとてつもなく愛しく貴重に感じられる。実在のライブハウスと関係者をモデルにした部分もあり、バンド同士の軽いマウンティングなど、とにかく描写がリアルだが軽やか。
作中に登場する楽曲は動画で公開され、PA、対バンなどの業界用語も分かるように描かれているし、むずキュン青春(微ハーレム?)ものでありライブハウス文化に馴染みがない人でも楽しめる。作者は玉置勉強から改名した「ゴリラスロウ」、心機一転の快作だ。(澤水月)