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菊池真理子『生きやすい 第2巻』- 人と話したくない日がある、だからといって人が嫌いなわけではなくてむしろ逆!

2020.10.25   CULTURE | CD

菊池真理子「生きやすい 2巻」

秋田書店

わたしは、誰かに"わたしもだよ"って言ってほしかったんだな

 たとえば、すごく疲れていたはずなのに眠れなかった翌日。「昨日、眠れなかったんだよね〜」と言っている人がいたら、めちゃくちゃわかる! …なんて、まったく知らない人にもつい相槌をしたくなるくらい、毎日のなかで遭遇してしまう苛立ちや憂鬱や不安なできごとは、「だよね〜」って言い合いたくなります。
 
 言い合ったところで、昨晩にもどって睡眠を取り返せるわけではないし、今日もまた眠れなかったらという不安を消せるわけでもありません。それでもなぜ、「それでさ、眠れないときなに考えてる?」「わたしはこんなに一生懸命ねむろうとして必死すぎだろって恥ずかしくなるよ」という特に終わりのない会話をしたくなるのでしょう。ひとりだと抱えきれなくなるからでしょうか。
 
 『生きやすい』のなかで菊池真理子さんは、人と会って楽しく会話をしたはずなのにひとりになってから疲れ果ててしまったり、いっそ無愛想な人になって話すのをやめてみようとしたり、そのはずがいつもの調子で明るく話しかけてしまってキャラがブレたり、いっそゆっくり休もうとしたのにくつろぐ自分を意識しすぎてリラックスできなくて落ち込んだり…人に隠しておきたいような日々の自分の葛藤を、「実はね…」と見せてくれます。
 
 でも、それって全部わたしたちに当てはまることじゃないですか?
 
 なぜなら、『生きやすい 第2巻』を読んでいるときのわたしの感情は
 「健気すぎ愛おしい(これわかる!!!!)」
 「一生懸命やってもダメなことあるよね(これわかる!!!!)」
 「がんばって対処しようとして超えらい(これわかる!!!!)」
 と、全部(これわかる!!!!)がついていました。
 
 他人のことだととても愛おしく思えるのです。
 自分だってきっと同じなのに。
 
 人と話したくない日や、人と話すことがそもそも得意なわけではないと感じる日も、わたしたちは人が嫌いなわけではないのです。そして、決して人と話したくないわけでもないのです。ただ、ちょっとそれがうまくいかない日があるだけ。
 
 前巻以上に肩を震わせながら笑ってしまう回だらけで、わかる〜って笑いながらも、「わたしは、誰かに"わたしもだよ"って言ってほしかったんだな」というとても人間くさい自分の気持ちに気づいて、思わず泣いちゃうようなとても大切な大切な1冊です。(成宮アイコ)
 
トークアーカイブ配信中「眠れない夜、どう過ごしてる? 私たちの不眠話」
 
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菊池真理子『生きやすい 第2巻』(秋田書店)発売記念イベント
眠れない夜、どう過ごしてる? 私たちの不眠話~菊池真理子×成宮アイコ~
11月2日(月)23:59までアーカイブ配信中
 
視聴チケット¥1,000
※アーカイブ視聴:11月2日(月)23:59まで

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