『お笑いの聖地・尼崎』に住む、オカンの清美と息子の駿の物語。母子家庭で、決して裕福な生活ではないが、2人は『お笑い』を愛していて、日常でも笑いの絶えない日々を過ごしていた。しかし、清美は癌患者で余命半年宣告を受けていた。母の為に駿が調べて見つけた治療法、それは『お笑い』だった。母の愛する『お笑い』の力を信じ、母にお笑いを届けるため、そして、治療費を稼ぐため、駿は高校生漫才の大会出場を決めた。母の死という絶望に対し、『お笑い』という武器を手に挑む駿の姿は、涙が溢れてしまう。著者の実体験を元にした、物語の深さと、落語作家でもある著者のお笑いセンスを散りばめたワードセンスで、涙のカツアゲだけなく、笑いのカツアゲまでされる良作。大切な人には惜しみなく愛を伝えること、お笑いは全ての人を幸せにする魔法なんだと気付かされた親子純愛感動爆笑物語。（LOFT/PLUS ONE：徳元優太）