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トップレビュー雛輪じゅん「中谷産婦人科NO.1」- アート、民俗学、宗教観まで横断する展開に、読み手の感情と自意識は振り回される

雛輪じゅん「中谷産婦人科NO.1」- アート、民俗学、宗教観まで横断する展開に、読み手の感情と自意識は振り回される

2019.11.28   CULTURE | CD

NextPublishing Authors Press
2,244yen(tax in)

アート、民俗学、宗教観まで横断する展開に、読み手の感情と自意識は振り回される

 プロフィール非公開。雛輪じゅんのデビュー作「中谷産婦人科NO.1」。まるで昔の外国文学のように丁寧な描写から紡ぎ出される物語は、様々なテーマが織り重なり、恋愛小説のジャンルに収まらない。アート、民俗学、宗教観まで横断する展開に、読み手の感情と自意識は振り回される。決して万人向け、読みやすい内容とはいえないにも関わらず、その流れに身を任せたい気持ちが湧き上がってくるから不思議だ。作者は確信的にそこを狙っているフシがあり、「雛輪じゅん」というのもキャリアある作家の偽名では? との疑いさえある。

 書籍の表紙デザインも雛輪本人によるものだという。ちなみに、表紙に描かれているのは物語のキーとなる男性のイメージ・イラストレーション。塩顔・中性的なキャラクターの表情と幻想的な色使いで、まさに唯一無二の「雛輪ワールド」が表現されている。

 2019年内に完結編となるNO.3まで刊行予定。NO.2以降では建築学や女の生き方、出産の生々しく重たい描写についてなど、物語はより濃密さを増していき、NO.3でバラバラの糸が一本にまとまるような、疾走感を感じさせる内容になるというから期待大。(モチヅキチフミ)

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