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ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト 「ボーダー 二つの世界」- 『ぼくエリ』作者が放つ大人のお伽話...エリたちのその後も収録

2019.11.11   CULTURE | CD

ハヤカワ文庫NV
1,408yen(tax in)

『ぼくエリ』作者が放つ大人のお伽話…エリたちのその後も収録

 
 2008年のスウェーデン・ホラー映画『ぼくのエリ 200歳の少女』(ハリウッドリメイクの題は『モールス』)の原作者・リンドクヴィストが自身でメガホンを取った。『ぼくエリ』が耽美極まる幻想吸血ものであるのに対し、今度はなんと「醜さ」が大きなテーマとなる。北欧ならではの雄大かつ美しさと恐ろしさを備えた森を背景に、「恥、罪」を嗅覚で感じ取る主人公の数奇な運命には度肝を抜かれる。『ぼくエリ』作者らしい極めてダークな大人のお伽話だ。
 本書収録の映画の原作は100ページほどの短編で、結末も筋立ても映画と異なるが補完し合っており、それぞれに味わい深い。短編集ならではのサプライズとして『ぼくエリ』後日譚や同じ世界での別の話しも含まれ「ぼくエリユニバース」が展開されていた。スウェーデンのS・キングと称されるのも納得。他にも犯罪もの、形容しがたいキテレツな話しもあり、映画未見でも楽しめるお得な一冊だ。(尾崎未央)

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