話しを盛りがちな人にどこまでが事実かを詰めるクセがついてしまった
自分の鞄にゲロできるヒトのエッセイがつまらないワケがない。偏見で申し訳ないが推したい本が出た。漫才コンビ・ハライチ岩井勇気さんの単行本だ。以前タクシーで吐気に見舞われ、車内に吐くまいと鞄の中に嘔吐したというラジオでのフリートークが超絶華々しかった岩井さん。この本は氏が30歳を過ぎて初めての一人暮らしで起きた出来事を、どことなく冷ややかな視点で切り取った日常系コラム集。決して業界の裏側や芸能人のギラついた生活が描かれたものではなく、あるのはマウントを取りたがる同級生の鬱陶しさ、棚が組み立てられない憤り、葬式に現れる面倒臭い親戚…等、私みたいなド平凡な人種にも起こりうるレベルのプチ惨事。たまに出くわす説明しにくい違和感や居心地の悪さを、他人事のようにやり過ごす感じがとても清々しくて健康的。独自の世界観、なんてありきたりな言葉は使いたくなかったけど、だってこれホントに岩井さん独自の世界観。(LOFT/PLUS ONE:舞草香澄)