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売野機子 「ルポルタージュ‐追悼記事‐」(3) - 愛は生きがいになりえるか?

2019.10.09   CULTURE | CD

モーニング KC
778yen(tax in)

 売野機子による『ルポルタージュ‐追悼記事‐』完結巻。 舞台は2034年の日本。恋愛を”飛ばし”て結婚することが主流となった時代で、非・恋愛パートナーを目的としたマッチングシェアハウスで起こったテロ事件をきっかけに、記者である主人公・青枝聖が被害者のルポルタージュを書くために様々な人と出会っていく。 
 前巻で、誰しもが文化的なものに興味があって感動する心を持っていると信じて疑わない側の人間の、音楽や美術に救われたことがあるゆえにその力を過信し延いては楽しむ余裕さえない人を可哀想だと思ってしまう傲慢さが詳細に描かれたシーンがあり、全身が引きちぎれる思いをしたけど、そのあと、すかさず自分の驕りに気づいて挑む人間の美しさを描くという救いがあって、なんて優しい作品なんだ…と感動したのだが、その優しさはテロ容疑者にスポットがあたる最終巻でも変わらない。
 愛なんてわざわざ形容しなくても、この世に溢れているものだ。(阿佐ヶ谷ロフトA:田中萌)
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