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松本俊彦 「薬物依存症」- 「辱めと排除」では解決せぬ...ピエール瀧の治療に携わる医師の著

2019.09.05   CULTURE | CD

ちくま新書
980yen+tax

「辱めと排除」では解決せぬ…ピエール瀧の治療に携わる医師の著

 
 ピエール瀧の情状証人として出廷、治療中の医師18年秋の著。「辱めと排除」が解決策でないと一貫し伝える。依存は「別の苦痛」での苦痛の緩和、対策は治療や支援・寄り添いの観点で行うべきという20年の実績からの言葉は重い。自傷・摂食障害(窃盗症との併発)、性・買物・酒など全ての依存に援用可能だ。
 定型的報道の「粉、注射器」の絵ヅラは戦っている依存回復途上者にトリガーをばら撒く。「ヤク中」はゾンビ風ではなくEXILEにいそうなイケてて頼れる兄貴風であり、自傷者は構ってちゃんどころか大半は傷を押し隠している。経験したサバイバーこそいま苦しむ人を救う、孤立させぬ自助グループの大切さが説かれる。支援を求めるメールは深夜か当人の誕生日前後が多いというのは示唆的だ。折しも19年8月、猶予判決からひと月でNetflix『全裸監督』で瀧の演技が普通に公開されている。回復途上者、支援者にとって大きな潮目だ。(澤水月)

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