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トップレビュー渡辺一史 「なぜ人と人は支え合うのか」- もしも明日、障害者になったら

渡辺一史 「なぜ人と人は支え合うのか」- もしも明日、障害者になったら

2019.09.05   CULTURE | CD

ちくまプリマー新書
880yen+tax

もしも明日、障害者になったら

 もし突然事故に遭い、全身が動かなくなってしまったら私は何を想うのだろうか。生きている意味も生きたいと思える気力も失ったら、死を選択するのだろうか。この社会に生きていると、ふとそんなことを考える。生産性がなくなってしまったら、私という存在は価値のない人、害のある人になるのだろうかとさえ感じてしまう。
 この作品は、昨年映画としても話題となった『こんな夜更けにバナナかよ』の著者である渡辺一史氏の新著である。障害者とは何か、健常者は何か、この二つを隔てる壁はあるのか、その疑問を追及していく。なかでも作中に登場する脊髄性筋萎縮症Ⅱ型の当事者である海老原宏美さんの言葉に衝撃を受ける。「障害者に『価値があるか・ないか』ということではなく、『価値がない』と思う人のほうに『価値を見いだす能力がない』だけじゃないか」。この作品を読む前の、社会という生産性に囚われた私がいかに愚かだったのか考えさせられてしまった。(LOFT/PLUS ONE:宮原塁)

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