Rooftop ルーフトップ

REVIEW

トップレビュー池井戸潤 「ノーサイド・ゲーム」- 腐敗した伝統のラグビー精神を破壊し、熱狂する

池井戸潤 「ノーサイド・ゲーム」- 腐敗した伝統のラグビー精神を破壊し、熱狂する

2019.07.10   CULTURE | CD

ダイヤモンド社
1,600yen+tax

腐敗した伝統のラグビー精神を破壊し、熱狂する

 「One for all,All for one」。社会では一般的に美しい心のあり方として表現されるこの言葉に吐き気が込み上げてくる。ラグビーをしていた高校時代、この言葉に何度殺されたことだろうか。表面上の優美な振る舞いに飲み込まれ、裏面である権力からの圧力に対抗できなかったことを思い出す。伝統だから、紳士だから、貴族のスポーツだからと綺麗事を押し付けられ、不純なことでさえも逆らえば悪者のような感覚に陥る。この作品には理想像のラグビー精神だけではなく、裏面である社会に蔓延る腐敗した精神をも細かく表現されたものである。全くラグビーに興味のなかった主人公を通じてラグビー界や社会、その全てが壊されていくような感覚に妙な高揚感を覚える。この作品の題名でもあるノーサイドという言葉のように現代社会も敵味方というしがらみのない社会ならいいのだが、今この瞬間も欲に飲み込まれた権力者がいると思うとやるせない。(ロフトプラスワン:宮原塁)
このアーティストの関連記事

CATEGORYカテゴリー

TAGタグ

RANKINGアクセスランキング

データを取得できませんでした

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻