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ヤマザキマリ 「パスタぎらい」- 世界は胃袋で繋がれる! 『テルマエ・ロマエ』の作者が綴る、食文化エッセイ

2019.06.03   CULTURE | CD

新潮新書
740yen+tax

世界は胃袋で繋がれる! 『テルマエ・ロマエ』の作者が綴る、食文化エッセイ

 
 ニンニク、塩コショウ、鷹の爪、そしてオリーブオイル。日本の「素うどん」にあたるペペロンチーノは、極貧時代に幾度となく食べた「貧乏パスタ」。かつて食べすぎて、今はもはやパスタ全般に食指が動かない。そんな等身大のイタリア料理や食文化を、イタリア暮らし35年の作者が綴る食べものエッセイ。独特のユーモアと偏食っぷりが気持ちいい。
 トマト嫌い! スナック菓子大好き! 臨終にはポルチーニ茸を食べたいから、森の近くじゃないと死ねない……。まるで欲に忠実な古代ローマ人。食文化の紹介も豊富で、ワインは自国が一番! というヨーロッパ圏の「ワインナショナリズム」などは新鮮。多くを日本と比べて綴っているから、海外経験のない私でもイメージしやすい。
 しかし、フィレンツェで労働者に愛されるモツ煮の料理屋を、赤羽や十条、なんて例えられたら、街にも料理にも既に馴染みのような感覚さえ覚えてしまう。なんだか、世界がぐっと近く感じられた。(LOFT9 Shibuya:藤松梓)

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