2019年5月10日よりTOHOシネマズほか全国で公開
自分は何のために踊るのか。世界を変えた、伝説のダンサーの人生をかけた決断
「彼は踊りたくて西側に渡ったんです。思いが爆発したんでしょう」
本作は、東西冷戦が最も激しかった時代、ソ連から亡命した伝説的なダンサー、ルドルフ・ヌレエフの実話を描いた映画だ。1961年、若きダンサーのヌレエフは、所属しているバレエ団の海外公演で生まれて初めてソ連を出国しフランスにやって来た。個人行動は禁止されているにもかかわらず、ヌレエフはフランス人のダンサーや社交界のセレブと親しくなり、パリの文化に触れる中で、自身の芸術的な探究心を高めていく。しかし、それを危険視したソ連の秘密警察により、次の公演地へ向かう直前に彼は拘束されてしまう。その時、彼が取った行動とは? 国家(システム)のためでなく、自分(個人)のための芸術を選んだヌレエフの決断は、決して半世紀以上前の話に留まらず、今の時代の私達にも問われている選択でもあるだろう。(加藤梅造)