私達を構築している頭脳、気配り、ツッコミ、良し悪しを判断する軸の消滅を、あれよあれよと強力かつ自然に、全く抵抗できない形で施してくれた。それは日本語の組み立ての狂ったマイクパフォーマンスと、自然体を超えてリアルに近付いている身体感覚、二人の歌手から見えている世界の構築性の無さ、そしてなによりそれらの合わさった私含めお客へのおもてなし溢れる飛び込み(文字通り)、騒然たる価値観の消滅をまさしくおもてなしで優しく全うしてくれた。そこで諸々が消滅した先に代わりに現れたのが、子供の目、見ながら何かを思う訳ではなく、ただ、ただ、見る、子供の目。そのまま、目の前のパフォーマンスを見ていると、子供から見た世界の歌が聞こえた。「ウエディングの外には喜びが広がってウエディングの中には笑いが育ってゆく」私は今しかない世界がどこまでも広がっていくのを感じた。（ROCK CAFE LOFT：おぎはらせいこまんじゅう）