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トップレビュー映画 「0.5ミリ」-『死ぬまで生きてやる』と決めた底なしの根性に救われる

映画 「0.5ミリ」-『死ぬまで生きてやる』と決めた底なしの根性に救われる

2018.12.21   CULTURE | CD

 まずはじまってすぐ尿瓶ね。で火事。で首吊り。でそれを目の当たりにしても涙ひとつ流さない子ども。もうてんやわんやのとんでもない状況。なのに驚くほどのんきなクラシック音楽によってアホらしく見えてくる穏やかな冒頭。まるで人が死ぬなんて大したことではないといわんばかりの妙な明るさは、もはや気持ちがいい。今作品は、監督自身の祖母が亡くなり、改めて「人は必ず死ぬ」と確認したことがきっかけで作り始めたそう。そしてその死を共に体験した妹 安藤サクラさんのために映画を作ったという。思い入れの強い作品に間違いない。そう強くない心臓をジクジク痛め今日を愛することもできず、消化させるしかない憐れな毎日を送っている登場人物たちは、主人公サワの温かさと『死ぬまで生きてやる』と決めた底なしの根性に救われる。どうしようもなく寂しい日、ちょうどよく寄り添ってくれるサワに会いに行ってみてほしい。この映画は愛だ。(LOFT9 Shibuya:常盤奈央)

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