Rooftop ルーフトップ

REVIEW

トップレビュー神田松之丞 「講談入門」講談界きっての若手である著者が編んだこの本、圧巻は講談各々のエピソードガイド

神田松之丞 「講談入門」講談界きっての若手である著者が編んだこの本、圧巻は講談各々のエピソードガイド

2018.11.20   CULTURE | CD

河出書房新社
1,890yen(tax in)

 同じ伝統芸能にしても落語の方はドラマやアニメになったりと人気を得ているが、講談は演者の高齢化、専門館の消滅などにより危機に瀕していた。そんな現状を打開するため講談界きっての若手である著者が編んだこの本、圧巻は講談各々のエピソードガイドである。「落語はコメディで講談はドキュメントだ」の言葉の通り、忠臣蔵や由井正雪、次郎長などの伝説のヤクザ、相撲の八百長モノから怪談まで、かつてはニュース的な役割のメディアだったことも分かるし、描かれる陰惨さや人情など小説などに与えた影響が多いことも伺える。「ここはこうした方が面白い」と先人がアレンジし後生に伝わっていった歴史も知ることができる。講談を実際に観てみたいと思わせる。「未来のミライ」やジブリ作品等アニメ声優、毒舌芸満載のラジオ「問わず語りの松之丞」など、「自分は講談に興味を持ってもらう『呼び屋』である」と言う彼の多岐に渡る活動からも目が離せない。(多田遠志)
このアーティストの関連記事

CATEGORYカテゴリー

TAGタグ

RANKINGアクセスランキング

データを取得できませんでした

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻