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トップレビュー吉田篤弘著 「おるもすと」- まるで散文詩を読んでいる気分になる。実に心豊かに読める作品

吉田篤弘著 「おるもすと」- まるで散文詩を読んでいる気分になる。実に心豊かに読める作品

2018.10.12   CULTURE | CD

講談社

 読書の秋目一杯である。今月はなんと10冊の本を購入した。藤井誠二「沖縄アンダーグランド」マキタスポーツ「越境芸人」外山恒一「全共闘以降」などなどであるが、まだほとんど読めていない。「おるもすと」は世田谷文学館開館20周年記念企画として限定販売され完売した幻の作品なのであるそうだ。やっと買えたという感じなのだ。私は著者の昔の代表作「つむじ風食堂の夜」に出会ってから、著者の平易な淡々とした文章はまるで散文詩を読んでいる気分になる。実に心豊かに読める作品だった。「おるもすと」も「この小説はどこまで書いても完成に至らず、どこまで書いても「almost」ーほとんど終えているのに終えていなかった」と著者があとがきで語っているように、とどめなく著者の世界が広がっているのだ。たった100Pのハードカバーのセンスが光っている。「こういう本を読まねばダメだよ」って猫に言ってみた(笑)。(平野悠)

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