“こいちゃん”の愛称で親しまれている、シャンプーハットこいでが漫画家デビューを果たした。シャンプーハットと言えば、相方のてつじと共に芸歴20年以上を誇る、実力派漫才コンビ。そんなこいちゃんは、漫才師である前に一人の父親でもある。いわゆる「子育て芸人」であり、且つ「絵心ある芸人」でもある。今作は、３人の子どもを持つパパの奮闘ぶりを独特のキモかわタッチでシュールに描いているが、ストーリーは全て実話。特段、笑わせようとはしていなくても、子ども達の予期せぬ行動や言動には、つい笑みがこぼれてしまう。親が想う以上に、子どもたちは色んなものを見て、色んなことを考えていると実感させられる。また、そこには常に父親の哀愁が背中合せとなって表れ、実に慈悲深い。せわしなく殺伐とした現代人に欠如しがちな、心の穏やかさを取り戻すハートウォーミングな一冊となっている。（Loft PlusOne West：尻谷よしひろ）