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トップレビュー真梨幸子 「殺人鬼フジコの衝動」 

真梨幸子 「殺人鬼フジコの衝動」 

2018.09.08   CULTURE | CD

徳間文庫
648yen+tax

 「人生は、薔薇色のお菓子のよう」実在した伝説の殺人鬼フジコはいかにして殺人鬼となっていってしまったのか_ーー。素手で胃を膵臓を、あらゆる内蔵をつかまれている感覚をキリキリと感じながらフジコの成長を追っていく前半から、畏怖も恐怖もごちゃ混ぜにした酸っぱいものがトロトロと漏れだし、業(カルマ)という言葉が耳の奥にこびりつく中盤を乗り越え、後半ではスパスパとテンポよく進む狂気に気持ちよさすら覚えながら、ラスト~あとがきですっきりと震えられる。人の怖さという簡単な言葉もその狂気に背景を、カルマや運命を信じますか? という安っぽい宗教の売り文句のような言葉にも事実で厚みと重みを加えることでずんと体にのしかかってくることを改めて感じられ、読み終わった後にもまだ終わらない怖さ、哀しみが後を引く。続編の刊行、舞台化、ドラマ化もされ話題となった作品ですがまずはこちらから、是非じめりとした寝苦しい夜のお供に。(阿佐ヶ谷ロフトA:榊原康太郎)
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