農家というのは誰かのために、食物を育てて、その人たちの命を担う担い手。食糧の担い手ではなく、命の担い手」本書に登場する青年が放つ1つの1つの言葉が心に重くのしかかる。私たちの生活は彼らによって支えられているにも関わらず、私たちはその存在をあまり意識せずに暮らしている。もちろんその彼らが原発という危険物に脅かされながら暮らしているということも私たちは無関心でいる。原発のない地域に住み他人事のように感じる自分に腹が立つ。
原発事故が起き、放射能による恐怖に多くの人が被害に遭う。生まれ故郷、仕事、安心して生きる権利が奪われた。その大惨事を起こした原発がなぜ、再稼動という道を少しずつ進んでいるのか。
この本は、原発建設に抵抗した「むら」の市民運動の記録である。再稼動という道を決して歩んではいけない。権力に忖度するのではなく、その地域に住むその人々に寄り添って考えなければならない。(宮原塁)