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トップレビュー高見澤俊彦「音叉」

高見澤俊彦「音叉」

2018.08.02   CULTURE | BOOK

文藝春秋
1,836yen(tax in)

 道化の仮面外した! 連合赤軍など大事件、教養、性愛も絡めまだ何者でもない若き日々描く処女小説。Aディミニッシュ・高フラットチョーキングなど音楽語での心情描写が斬新! 対自核とサルトルで教師が戦うプログレ日々、赤坂ビブロスなど最先端風物、ウマい歌舞伎町酒場の楽隊とヘタでも光るバンドの溝も苦い。著者自身、青年時に超美貌だが本書は自身投影を複数人物に分割...開き直り美貌利用される根暗男の齟齬描いてもよさげ。過去、評伝を渡辺芳子、実名漫画を吉岡つとむ・小説を山川健一に書かせ「自分史を本に」繰り返してきた著者。遂に自身で心情や業界虚飾皮膜書き切り、また完成へ導いた編集者との二人三脚に拍手。
 主人公変え、現代音楽業界のナマさ記す書き下ろしスピンオフが凄い。消え生まれるバンド、アイドル。男女・人間関係で翻弄の世界に倦む高齢語り手...この一編こそ著者以外誰にも書けぬ真骨頂。一発屋じゃないぞ作家高見澤!(尾崎未央)

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