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古谷経衡 「愛国奴」

2018.08.02   CULTURE | BOOK

駒草出版
1,800yen+tax

 歴史的知識が欠けた状態で、ネットでの陰謀的歴史情報を取捨選択するのは極めて難しい。かなり偏った見方で捉えた記事を、歴史を教科書レベルで囓った人が見ると、つい世の中の全てを知った気になってしまう。そのような陰謀論を真に受けて自尊心を守るためだけにひたすら敵を作り攻撃し続けるネトウヨと呼ばれている人たちがいる。彼らは何と戦っているのか。韓国人? 中国人? それとも自分自身? 気にくわない思想の人に在日のレッテルを貼り叩く、知り合いのネトウヨの社会的地位が上がって来たら叩く。とにかく自分を守るために叩く。負け犬の遠吠えは本当に醜い。しかし、ネトウヨだけでなく、どこの組織にもそのような人物がひとりはいそうである。尊大なる自尊心を持ったモンスターが。当書は一応フィクションを謳っているが、明らかに作者の体験談と取れる内容となっている。著者が長年溜め込んだ怒りを作品に冷静にぶち撒けたかのごとくの傑作だ。(阿佐ヶ谷ロフトA:山崎尚哉)

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