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トップレビュー伊藤潤二 著 太宰治 原著 「人間失格2」

伊藤潤二 著 太宰治 原著 「人間失格2」

2018.06.01   CULTURE | BOOK

ビッグコミックス
596yen(tax in)

 太宰治の『人間失格』は、古屋兎丸も2009〜11、現代に置き換えつつ見事にコミカライズしている。ホラーの大家、伊藤潤二も挑むとは!と驚いたが、考えてみれば太宰本人が最後共に入水した女性の名前は「山崎富栄」…伊藤ワールドの蠱惑邪悪な悪女、富江と同じ音ではないか! 伊藤作品は原作と同じ時代、原作通りの息詰まる展開を見せつつも時折彼らしい飛躍、ギャグ側面も随所に差し挟まれ素晴らしい。「悪魔的な色男」も描けたとは感服。
 2巻の伊藤オリジナル白眉は「十個のわざわいの塊」…ここに、このような見せ方で持ってくるか! まさに太宰ミーツ伊藤潤二の意味が凝縮されたかのよう。何故か原作読んだばかりなのに本書で見せ場の場面ですぐ終わると勘違いしており、まだ地獄のような描写が続くであろうことを思い知り戦慄。また原作を読みたくなった。作者の新局面を開く代表作になるかと思う。(尾崎未央)
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