今年1月に10年振りの復刊をしたという都築響一さんの、『着倒れ方丈記 HAPPY VICTIMS』。和訳すると、幸せな犠牲者達という意味だそうです。ごく普通の生活の傍ら、あるデザイナーやブランドに魅了された部屋を捉えた写真集です。私自身も大人になったらハイブランドを着倒す! と意気込んでいましたが実際にはなかなか手が出ません。しかしこの本に出てくる方々は生活を切り詰め、三度の飯より収集をしているようです。そんなアンバランスと思える生活を「いとおしい」と都築さんは表現しています。ブランドは美しいモデル、暮らしをした顧客像を披露しますが、好きになったら関係ないですね。だって好きなんだもん。何に費やしどう魅せるかの選択は自由です。理想の顧客像とは程遠いかもしれませんが、そんなブランドを支えているのはやはり紛れもなく、幸せな犠牲者達です。そんな犠牲者が素敵で、少し羨ましく感じてしまう一冊です。(ロフトプラスワン:三ツ橋)