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トップレビューキャサリン・ダン 柳下毅一郎訳 / 異形の愛

キャサリン・ダン 柳下毅一郎訳 / 異形の愛

2017.06.01   CULTURE | BOOK

河出書房
3,200yen+tax

 感無量…96年翻訳初刊の「けしからん小説」が元の版元ペヨトル工房解散17年、本当に蘇った! 紛う方なき奇書ながら大感動、涙腺崩壊必至という魔力的読後感で書評家の豊崎由美社長ら海外文学マニアが復刊を熱望し続けていた本書、どうけしからんのか? 潰れかけのサーカス団長が金をかけずに団を再建するため妊娠中の妻にあらゆる毒を飲ませ見世物用のフリークス=奇形を誕生させるのだ。これだけでも卒倒モノなのに自ら手足を切り落とすという破壊的な身体損傷カルトが誕生し…からだの異形とこころの異形の愛が織り成される!
 一時T・バートン監督で映画化が進行も実現せず、本書の絢爛たる奇形サーカスのイメージは『ビッグ・フィッシュ』で放たれる。元本は黒田一郎=鬼畜ライター村崎百郎が編集していた。村崎氏の衝撃的な刺殺から7年。ぜひ若い読者にも「本ってここまでやっていいんだ!」と驚愕し活字の妙を味わってほしい。(尾崎未央)

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