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木下古栗 / いい女VSいい女

2017.05.01   CULTURE | BOOK

講談社
1,470yen(tax in)

 一般に世の中には読むだけで「賢くなった!」と錯覚を覚える(?)素晴らしい書物がある一方で、読んでも一切頭が良くなった気がせず、それどころか読んでしまったがために脳髄が腐敗したように思わせる書物もあり、その中でも退屈極まりない(お金と時間の無駄)と唾棄すべき書物と、「脳髄の腐敗≒変性」自体が読者にとって最高の愉楽であるといえるような書物―つまりは読者が自身の生き方そのものの一部(人によっては大部分)を変えずにはとうてい受け止めきれない諸力を帯びた作品―があって、今では希少な部類に属するその種の作品を(単なる読物とは区別し)仮に「小説」と呼ぶことができるならば、木下古栗はまぎれもなくそうした「小説」家のひとりである。表題作「いい女VSいい女」のほか、「本屋大将」「教師BIN☆BIN★竿物語」の3作品を収録。タイトルだけ見て、ちょっと読んでみようかなと思った人、その判断は間違いなく正しい。(LOFT9 Shibuya:田中博幸)

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