今はやりの芥川賞作家の川上未映子を読んでみたいと思っていた。芥川賞受賞作「乳と卵」は読んだはずだが、なんとも思い出せない。と言うことで駅の本屋で買ってみた。<真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。>と巻頭の文章にころりと転んだ。
<光とともに降り注ぐ>なんてなかなか書けない。さてこれが恋愛小説なのか? 愛が存在しないのに恋愛小説なんだ。主人公はゆっくりと長い時間をかけてこの一方的な愛? に終止符を打って行く。会おうと思えば会えるのに、そして彼も多分それを待っているのだろうが、基本はいつまでも覚えているのではなくて「いかに忘れるか」がテーマになっているのだろうか? 女性ってこんなに誠実だったんだろうかって思いながら読んだ。失恋の多き女性が読めばいいかも。(平野悠)