初代ポケモンが大ヒットした９７年、宗教学・人類学者で当時飛ぶ鳥を落とす勢いの中沢新一が書いたポケモン論が恐らくポケＧＯ人気受け新書で復刊。ゲームは子供用電子娼婦！　言い得て妙すぎる。ポケモンに熱中する９７年の子供達を考えないと未来の日本が判らないという予見はピタリ当たっていた。

　レヴィ=ストロース引用、フロイトのエロス・タナトス（性＝生と死の欲望）、水金地火木のバランスを解く五行説、贈与し合うポトラッチ（本書で言及ないが見栄張り合いでもある現象）は予想できた。だがラカンで記号まみれになる箇所はついていけず…でも面白い。素朴なアニメ前のポケで語り尽くすのは実はポケＧＯと同じ根幹世界観ですんなり読めた。当時と０３年文庫化時の田尻智（ポケ創案者）の言葉が沈黙守る今、非常に貴重。「ポケットの中の野生」という原題いいんだがなぁ。中沢さんＧＯでスマホかざし発奮、新ポケ論書く宣言！ 楽しみだ。（尾崎未央）