『「超」怖い話』平山夢明担当分の再刊開始。“そういう時アスファルトは氷に変わる”…詩的斬新な表現だ。90年代初頭は夏だけのコンビニやキオスクの読み捨て子供騙し本ばかり、唯一『新・耳・袋』（扶桑社版）が大人が読むに堪えたがその時は続かず。平山は実話怪談に真剣に食らいつき、現代文学を導入した功労者だ。初期は「霊感」と素で使うなどまだ素朴だが題だけで思い出せ（内容分からせぬ題はセンス溢れてた）確固たる文体あった。ヤビツ峠と聞くだけで怖い（典型的都市伝説化はこのテキスト発表後だと記憶する）。年に数冊、四度も五度も読み書き写した私の青春…思えば平山の青春でもあるのだ。知人から集め、ご家族の様子、初々しく懐かしい。書ける機会ない時代の真剣勝負、現状飽和劣化している怪談本に喝入れる後書き必読。『無垢の祈り』映画化で機運また来ている今、新たに筆執ってほしい。ボリビアの猿、来年刊行実現切望。（尾崎未央）