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福永武彦 / 草の花

2016.08.01   CULTURE | BOOK

新潮文庫 
562yen(tax in)

 若き時代私はこの福永武彦にはまって居た。太宰治~田中英光~福永武彦と読書遍歴をした。大好きだった福永武彦の著作は全部制覇した。池澤夏樹氏の父親だ。年を取ると書棚を見回し過去に感動した本を手に取ることが多い。だから私はやはり図書館とか電子書籍でなくて本を買ってしまう。なんとなく昔を振り返る意味で「草の花」読み返してみた。あの時代福永武彦にはまった人は多いはずだ。福永武彦はまるで絵を描くように風景描写を丹念に書く。孤独をテーマにした青春小説だ。それも絶望的な孤独だ。「この本は日本文学ではまれに見る知的な青年を描いた本である」(解説より)「一人一人は自分だけの孤独を持ち、誰もが閉ざされた壁のこちら側に屈み込んで、己の孤独の重味を量っていたのだ」なんてフレーズに若き頃は震えたものだ。さて「孤独とは」と問い返すあなたはこの本が読めるだろうか? と私は問う。(平野悠)

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